株式会社マザープラス
SNSが発達し、多くの人が個人で起業できるようになった昨今。今でこそ、様々な『働き方』がありますが、数年前まではそうはいかず、せっかくのキャリアやスキルを生かせず、子育てに専念する女性も多くいました。そんな中、2006年のベビーマッサージ教室から始まり、2008年に起業された
株式会社マザープラス。
ママの総合代理店として、社会との接点を持ち続けて輝いていく、そんな女性のためのお手伝いをし続けてきた会社のあり方を、
代表取締役 巽 房子 様に伺いました。
マザープラスとは……
motherにたくさんのplusが加わる事で、すてきなママであるだけでなく、愛される一人の自立した女性として輝ける場と「社会参加の機会」を創造しています。 ママになった女性、ママになる女性、全ての女性をもっと元気に。ママの立場に立った様々な企画や事業を展開している企業です。
ママの総合代理店として、マーケティング業務やイベント業務、人材紹介業務など多岐にわたる事業内容を持つマザープラス。子供を持つママで構成された約12,000人もの会員の力を社会に届け、社会とのつながりを増やしていくために企業や団体の商品販売やサービスの宣伝、販売を行っています。
巽さん「マザープラスの前身として、お母さん向けのベビーマッサージの教室を始めたことが最初です。始めたきっかけは、次男が生まれた時。独身時代は人一倍働いていたものの、結婚を機に仕事を辞めたんですね。第一子の時はがむしゃらに子育てをしていたのですが、第二子の時はある程度余裕ができて、自分自信のことを考える時間ができたんです。そんな時、2ヶ月の次男の授乳中にふと考えたんです。子どもが自分の手を離れた10年後、いざ働こうと思っても、営業しかしたことのない自分は何もできないな……と。周りを見てもママ友ばかりで、『〇〇くんのママ』としか呼ばれない。私の名前を呼んでくれる人は1人もいない。
そんな後ろ向きなことばかりを言いながら子育てするのは嫌だし、何か社会に携われるような、人と関われるようなことがしたいな、と。そんなアンテナを張り出した時、テレビでベビーマッサージを知ったんです。これだ!と思って。4日後には民間資格を取りに行き、ホームページを作成、そのまま教室を開きました。ブログなどもない時代でしたが、口コミで人が集まり2年で500人が集まるような教室に成長したんです。」
『ママ』のベールを脱いだたった3万円の仕組み
巽さん「ベビーマッサージの教室では、たくさんのママたちの話をたくさん聞くことができたんですね。よくよく話を聞いていると、『ママ』というベールを被っているだけで、ベールを脱ぐと隠れた才能を持っている方がたくさんいらっしゃって……。なんでこの人たちは、赤ちゃんを抱っこしているからといって、社会の生産人口に入れてもらえないんだろう、と感じたんです。
最初ベビーマッサージをやり始めた時は、私事のやりたいことを叶えるものだったのですが、私が最初やったように、たった3万円でも稼げる仕組みを作るだけで社会と繋がることができて、赤ちゃんとばかり喋るのではなく、大人と喋ることができて……心にも栄養分が行き届くのではないかなと。多くのママと携わることによって気づいたんです。これが、マザープラスを設立したきっかけです。」
社会とつながりたい、というママの思い。その思いに自信が持てないのは、『私なんて』という子育てに真剣に向き合うからこそ生まれた、社会の中での自分自身の無力感かもしれません。
巽さん「教室は口コミで大きくなっていきました。だから組織として強かったんだと思います。リアルに3万でも稼ぐことができる場、ママ同士が繋がることができる場として広がっていきましたね。」
ママのプラットホームとして
巽さん「主婦も、楽しかったんです。ただ、1人の人間としてアイデンティティーがあるわけで、子どもの母親として自分の名前も呼ばれない生活が何年も続いてしまうと、自分が無くなってしまったような気がして不安に苛まれる人がすごく多い。なので、絶対に『〇〇くんのママ』ではなく本名で呼ぶようにしていました。
ママをちゃんとしながら、社会と携わって社会の役にも立って、収入を得ることができる。そんな本当の意味でのママの働き方改革を社会に知らしめていきたいです。これだけ長い間、ずーっと男性が作り上げてきた産業社会。その歯車には、ママはなれないよ、と私は思うんです。仕事以上に大切なのは、家族ですから。そこがブレて仕事ばかりしていても、何か欠落したものになってしまう。
ママだからって諦めなくても、私だからこそできることを、マザープラスは一緒になって広げていきたいです。
答えは既にママの中にあるので。そして仕事を斡旋するだけでなく、情報が回るプラットホームになればいいなと思います。」
ママほど戦力になる人材はいない
巽さん「ママたちの心のネックは、
『私なんて……』です。やる前から、リスクを考えて失敗したらどうしよう、損したらどうしよう、と先のことばかりを考えてしまうようです。私たちはリスクヘッジをして、ママたちが参加しやすいような仕組みを作っています。
今やインターネットがつながれば、世界中と仕事ができます。今やご支援いただいている企業様は、たくさんいらっしゃり、その仕事を細分化してママたちにお渡ししたり、週に1回でも出てきてもらってお仕事をしてもらったりしています。」
マザープラスを設立して12年。ママたちが活躍し続ける場を提供してきた中で、もっと女性が働きやすくなるためには、どのような社会が理想なのでしょうか。
巽さん「働くママに対する理解が、もっと深まるといいなと思います。ママを1人で雇うのではなく、1つの事業やプロジェクトを3人ぐらいで回す、とか。子どもの急な発熱やトラブルでも欠員が出ることなくママは働くことができますし、事業やプロジェクトもストップしませんよね。ママだから子どものことで仕事を休む、というのは無責任ではないし、それは会社が作る仕組みの問題だと思うんです。働くための仕組みも作らず、企業努力もせずママだけが矢面に立つのは違いますよね。
ママほど戦力になる人材はいないと思うんです。就労時間は短いかもしれませんが、その分集中して仕事を仕上げるだけでなく、ながら作業は女性しかできませんからね。もっと働きやすい風土、仕組みの創造がもっとできたらいいのに、と。そんな場を作って欲しいなと思います。企業として今までやっていたことは、今の時代にはミスマッチということに気がつかなければならないと思います。」
ママのポテンシャルがもっと生きる日本に
巽さん「今の日本は赤ちゃんを抱っこしたママでも働き手にならないと、回らなくなるほど崖っぷちにきていると思うんです。ママは仕事を一番にはできません。ただ、ママを活かすために必要なのは、仕組みづくりかなと。
今後のビジョンは、全国のママ達がどうつながって、情報交換であったり仕事のシェアであったりを作って。ママの社会的立場はまだまだ低いです。それをマザープラス一社がどうにかしようと思っても、点でしかないんです。皆が手を繋いで改革を起こして線にしていかなければ意味がない。全国のママ達とつながりを持って、ママができることをどんどん生み出していきたいな、と。企業から企業にだけ資金が巡るのではなく、ママのポテンシャルを信用して、どんどんお仕事を廻す価値を痛感して欲しいです。」
一億層活躍社会の実現には、子育て支援だけではなく、女性の働き方改革も大きな鍵を握っています。これから先も、女性のスキル、経験を活かしていくための場として、マザープラスが社会と女性との架け橋としてより一層活躍する姿が目に浮かびます。
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