オオサカ、イロイロ、働き方

OFFICE 3828 GROUP 有限会社 さんぱつや

髪やお客様をキレイにするために、お客様と直接触れ合いお客様の笑顔をその場で見ることができる理美容の世界。
さっぱりと髪を切り、気分をリフレッシュしたい時に皆さんも利用されるのではないでしょうか。
そんなお客様に、役立つ事を考えて一生懸命に取り組んで行こうという姿勢で向き合っています。
今回は、高齢者に向けて訪問理容サービスも行う有限会社　さんぱつや 代表取締役 会長 土屋 篤 様にお話を伺いました。




有限会社 さんぱつやはヘアサロンの運営だけでなく、福祉施設や医療施設で生活されている高齢者の方々、および外出の困難な方々にも満足いただける理容と美容の訪問サービスを、約５年前から提供されています。

お客様の“笑顔”に会えることを願って…

土屋さん「以前から独立心があったので、30代になる前の1994年、さんぱつや１号店をオープンしました。それまで勤めていた理容の会社では、商売の発想などたくさんのことを学ばせてもらいましたね。特に勉強になったのは、『誰もお前らのようなアホとは喋りたくない、お客が喋りたいのは弁護士と医者だけ。いらんことはしゃべらず手を動かせ！』でしたね。お金を頂いてお客様の頭を刈らせてもらっている、お客様の時間を無駄にするな、ということです。徹底的に教えてもらいました。

独立した最初は、売り上げ100万くらいあればいいなーと気楽なものだったんですけどね（笑）だんだんと売り上げもあがって、大きくなっていきましたね。」

髪を切りに行きたくても、動けない高齢者の現実

土屋さん「実家の近くの千里ニュータウンで開いた店舗には、地元の同級生とかも来てくれていたんです。ある時『お前のお父さん、以前よく来てくれて。最近来ないけど、どうしてるの？』と話した時に、『行きたがってるけど、足が悪くて階段も降りられないんや』と。僕らが35、6歳で親世代が70代になり始めた頃ですね。その頃は介護保険もなく、今みたいにデイサービスもなかった時代。どうにかしたくて、保健所に出向き、寝たきりの人にどうやってシャンプーするのかを習ったりもしました。
試行錯誤を重ねて、そこから個人宅に散髪に行くというサービスを始めました。これが訪問理容の始まりですね。
高齢化が進んでいた千里ニュータウンという特殊な場所にいた、というのがこのサービスを始めた大きなきっかけです。」

利だけでは動かない

土屋さん「個人宅の方は、いずれ施設に入りますよね。その施設の中では、施設が勝手に散髪する会社を決めているんです。個人の実費で髪を切るのに、なんで施設のいいなりにならないといけないのか、と。
以前、あるお客さんが高級な介護施設に入所したんですね。そのお客さんに『散髪に来て！』と言われたから、お伺いしようと思ってたんですけどその施設にうちは『もっと高級な散髪屋に来てもらってますから』と言われて。いやいや、おかしいやろ、と。
『あんたのところで散髪したいわ』『いつも行ってる散髪屋さんがあるから、そこへ電話かけてくれ』ってお客さん自身に言わせてあげたいんです。お客さん自身に指名させてあげよう、と思っています。利用者さんが自分は美しくなりたい、だから自分の意思でお店を選べるようにしてあげたいですね。

訪問サービスの範囲は、岡山から岐阜まで幅広いですね。商売は利だけで動くとうまくいきません。都合のいい場所だけ訪問して、それ以外の場所には訪問しない、それではうまくいきません。遠くまで来てくれるんだから、当日のお客様が増えていたり。お客様側で何とかして頂いてるんです。お互い様ですね。」



『wao!!TV』は、"さんぱつやグループ"が発行するフリー情報誌「wao!!」と連携して、関西の旬な情報・元気な人々・美味しいお店など関西を中心とした楽しい情報をお送りしていた番組です。

街の話をしたかった

土屋さん「雑誌はね、お客様からたくさん情報が入ってくるから作ったんです。『あそこにお好み焼き屋が出来たなぁ』とか『新しく出来たあそこ行ったか？』とか。お客様との会話の中の情報を集めて、自分たちで雑誌を作りたかったんです。学級新聞を作るような感じで。
理美容についての情報はほとんど載せてなくて、とにかく街の話がしたかったんです。
その後、デジタルマガジンにしたり、ケーブルテレビで『wao!!TV』を作ったりしました。
雑誌は1年、テレビは7年やりました。それがきっかけで、いろんな人と知り合いましたね。」

理美容師の今後

土屋さん「気が付いたら歳のいった人が溢れているんですよね。理美容師って、40歳過ぎたらあかんのですよ。35歳超えてきたら売れないんです。散髪屋さんならまだいけますが、美容師はもう無理です。洒落たお店の美容師さんって、若い人ばかりです。もうちょっと、美容師の仕事寿命を伸ばさないといけない。これって業界の課題です。
だけど、訪問散髪に行くと相手にとったら僕らは『お兄ちゃん』なんです。60歳のおばちゃんが散髪に行っても『お姉ちゃん待ってたで！』と言われる。60歳でもお姉ちゃんと言われるから生き生きと働ける。会話も提案するヘアスタイルも合うんです。吉永小百合みたいにして！って言われてもわからないでしょ？石原裕次郎のお面をつけてみたり、散髪屋風の屏風セットを使ってみたり…おママごとみたいな演出で喜んで頂いてますよ。


理美容業は、これからどんどんダメになって業界は半分に縮小していくと思うんです。コンビニよりも数は多いのに、理美容業全体の売り上げが某住宅メーカー1社の年商に負けているんです。昔はね、『この指で稼げるんやで、手に職をつけたら誰にも取られへんねんで』って言われてきましたけど…。値崩れを起こしている業界ですし、今から中途半端に理美容業界に入るのであれば、止めた方がいいって言いますね。
ただ、20年30年先はわからない。時代が変わったら、やりがいがあっていいと思います。」

喜んでもらいたい、与えたい精神

土屋さん「私には知的障害のある弟がいて、昔から一緒にいたから、自然と利他の精神が身に付いているのかもしれません。普通の人から見たら、かわいそうやなあ、大変だなあ…と思うかもしれないことも、全然普通ですよ。
僕らの時代は60歳でおじいちゃん、70でめっちゃ長生き！ですよ。私の地元では昔から『オカンはどうしてるねん？』『施設入っとるわ！自分（あなた）は？』『うちも施設入ってるねん！』みたいな会話をしてきて、今でもあだ名で自分のことを呼んでくれて、弟のことも気遣ってくれて…そうやってきたからこそ、高齢者をなんとかしなければ、と思うんです。」

ハラル認証とは、イスラム教の戒律に則って調理・製造された商品であることの証です。イスラム法においてハラルとは「合法なもの」という意味で、イスラム教徒は豚肉や血液、酒類、イスラム法に則って食肉処理されていないものなどは口にしてはならないとされています。
さんぱつやでは、現在ハラル認証のシャンプーを開発しています。




土屋さん「もともとヴィーガンという認証とコスモスという認証を持つシャンプーを作っていたんです。日本はバッタもん（＝偽物品）のオーガニックばっかりなんですよ。しっかりと認証を取っているシャンプーなので、ハラル認証も取れるんではないか。そんな過程を経て、ハラル認証をつけて製造しています。ショップと博多阪急で販売予定です。
３種類の認証を取っていたら、自分でシャンプーをわざわざ持ってきているインバウンドの方々にもお勧めできる。もちろん自分も使っています。驚くほど抜け毛も無くなり、今では抜け毛はあまり気にならなくて、髪の毛を大切にできますよ！」


様々なアイディアで、髪を通して多くの価値を生み出すさんぱつや。正社員だけでなく、業務委託など多様な働き方も取り入れています。これからもっと広がるアイデアとサービスがとても楽しみです。

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