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南海化学株式会社/老舗化学製品企業が仕掛けた、「女性活躍推進タスクフォース」とは?


南海化学株式会社

苛性ソーダを中心に化学製品のメーカーとして115年の歴史を誇る南海化学株式会社(本社:大阪市西区)。化学ということでお堅い男の会社というイメージが持たれがちですが、女性が働きやすい会社へと、大きな変化の真っただ中にいます。
核となるのが、2018年に発足した「女性活躍推進タスクフォース」。健康診断や勤務体系などで既に制度変更を実現しています。リーダーの山田美紀様と、ボードの立場からサポートする取締役執行役員の室井真澄様に、社内の変化や今後の取り組みについてうかがいました。




女性活躍推進タスクフォースを中心に、長く働ける会社目指し制度改革次々と


同社の最近の名刺には「女性活躍リーディングカンパニー」(※)のロゴマークが印刷されています。大阪市が認証する制度で、「意欲のある女性が活躍し続けられる組織づくり」「仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)支援」「男性の育児や家事、地域活動への参画支援」において、制度面の実績があると認められた企業が認証されます。
南海化学は今年2月、最も高いレベルである「二つ星」に認証されました。

(※)「女性活躍リーディングカンパニー」:大阪市では、「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」認証事業を実施しており、企業等からの申請を広く受け付けています。少子高齢化が一段と進行し超高齢社会を迎えている中、労働力人口が減少し、現役世代の負担はさらに大きくなっているにもかかわらず、結婚や出産を機に離職する女性が多く、女性の登用が進んでいる企業はまだまだ少ないという状況です。
そのため、法令の遵守に留まらず、「意欲のある女性が活躍し続けられる組織づくり」「仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)支援」「男性の育児や家事、地域活動への参画支援」について積極的に推進する企業等を、本市が一定の基準に則り認証し、当該の企業等が社会的に認知されることでその取組みが広く普及するよう、「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」認証事業を実施しています。(大阪市H.Pより)


 山田さん:
女性活躍推進タスクフォースが2018年に生まれ、本社や工場の女性社員が会社から声を掛けられて集まりました。それまで面識のない人もいたのですが、テレビ会議を通じてランチ会をしたりして、とても盛り上がりました。大きなテーマの一つとなったのが、女性役職者を増やすことです。そのためには、女性が長く働き続けられる会社でなくてはなりません。
そこで、40歳以上が対象だった会社負担の乳がん検診や子宮頸がん検診を40歳未満でも受けられるようにするべきだという声が上がり、実現しました。また、子育て中は学校行事等で有給休暇日数が足りないよねという意見も出て、入社後4ヶ月以内の試用期間中の社員も利用できる年2回の有給の特別休暇である「ライフサポート休暇」もできました。




 室井さん:
ライフサポート休暇は当初、ファミリーサポート休暇と言うネーミングでいこうとしたのですが、タスクフォースから、それでは独身者ら家族のいない社員は対象外のように思われるとダメだしされて、名前を変えたんです(笑)。

女性が生き生き働ける会社こそが、経営効率を上げ持続的成長につながる


タスクフォースをあえてつくったくらいですから、それまではやはり、男性社会でした。
女性社員の数が少ないうえ、早期に辞める人が多かったのが実情でした。


山田さん:
2003年に入社したころは、本社に女性社員は5、6人だけ。結婚したら辞める、そうでなくても出産したら辞めるのが当たり前でした。でも、社外の会合などに行けば、女性の役員もおられ、うらやましさを感じるとともに、女性のモチベーションが上がり、やる気があれば働き続けられる会社にしたいなと思うようになっていました。

室井さん:
2016年に女性活躍推進法ができ、その対象は301人以上の企業となっていましたが、女性が生き生きと活躍できる職場環境を整えることや女性社員のキャリアアップの機会を増やすことに、社員数は関係ありません。そうした取り組みは経営効率を高め、会社の持続的成長につながるという判断で、タスクフォースをつくりました。女性のためだけの改善と思われると、男性社員からひがみややっかみが生まれがちですが、女性が働きやすい職場は男性にとってもいいはずです。
ライフサポート休暇などはそのいい例だと思います。

大阪市に続いて、南海化学発祥の地であり、工場がある和歌山県が認証する「女性活躍企業同盟」「わかやま結婚・子育て応援企業同盟」への参加も認められました。
現在、もう一ヶ所の主要拠点である高知県の同様の認証制度の「ワークライフバランス推進企業認証」の取得に向けて取り組んでいます。
そのほかには、どんな成果が生まれたのでしょうか。





 室井さん:
育児介護休業法では、時短勤務が認められるのは子供が3歳までとなっていますが、それを小学校就学時まで引き上げました。また、時差出勤も子供が小学校に就学する前までだったのを、小学3年生終了時までにしました。特に工場では、シフトを組むうえで支障はありますが、対応しなければいけないと考えています。

制度改革が社員の意識変革につながっていることを実感


タスクフォースができて3年余がたって、社内では変化も出てきているようですね。

 山田さん:
最初は男性上司に言いにくいことがありました。でも最近は、男性社員が声を掛けてくれるようになりました。子供を病院に連れていきたいんだけどいいかなとか。若い男性社員は育児に取り組んでいる人も増えてきているんですね。男性の育休取得は過去に1人しかいませんでした。
今回、ようやく2人目が出ました。タスクフォースはスタートから3年がたった今年、新たなメンバーで再スタートを切りました。私は変わりませんが、毎月1回の定例テレビ会議などで討議し、「女性のため」だけにこだわらず、「女性の視点」から働きやすい、働き甲斐のある職場、魅力的な会社になるよう、積極的に提言していきたいと張り切っています。

すでに、今後の改革テーマも視野に入っていますね。

 山田さん:
次世代法によって、子育てサポート企業と認定されれば「くるみん」マーク(※)がもらえます。これまでの認証制度よりハードルが高いのですが、ぜひ取得して名刺に入れたいですね。新しいテーマとしては、介護制度の改革に取り組みたいと考えています。子育てと違い介護は終わりが見えません。それだけに、影響を受ける人は多いのではないでしょうか。福利厚生にも取り組もうと思っています。かつては社員旅行があり、それに代わって慰安会を開いていましたが、新型コロナウイルスの影響によりそれもできなくなってしまいました。価値観が変わっていく中でお金を出せばいいというものではありませんが、会社の一体感を高めるためにも何かやりたいと考えています。
(※)「くるみん」マーク:厚生労働省が少子化対策をはかり、子育て支援など一定の基準を満たした企業や法人などが認定され、「くるみん」マークを広告や商品(役務も含む)などに付け加えることができます。




 室井さん:
女性の管理職を増やすという課題はありますが、一方で、なりたがらない社員もいます。実は、それは男性社員でも同じなのです。無理に抜擢するのではなく、やりがいやモチベーションをどう生み出すかが男女共通の課題になっています。管理職には「自らが仕事を楽しむ姿を示して欲しい」と伝えています。
国連のSDGsの17の目標のひとつに「女性活躍推進」(※)があります。今年スタートした新中期経営計画ではSDGsに本格的に取り組むことを決めました。女性の活躍と共に「働き方改革」「ダイバーシティ推進」「次世代教育振興」「健康経営推進」に特に注力して、社内外で社会的価値を創出し続ける企業になるべく、グループ一丸となって取り組んでいきたいと思っています。
(※)SDGsの「女性活躍推進」:SDGsの目標5 「ジェンダー平等を実現しよう」。この目標5は「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」のテーマのもと、9個のターゲットから構成されています。


代表取締役社長 執行役員 菅野 秀夫氏


企業情報

南海化学株式会社
〒550-0015
大阪府大阪市西区南堀江1丁目12番19号  四ツ橋スタービル
TEL:06-6532-5590
https://www.nankai-chem.co.jp/







株式会社 GRAZIE /人を活かしたい!その結果「まつげエクステ」のパイオニアに成ったオーナーが語る美と仕事と人生。


株式会社 GRAZIE グラッツィエ

大きなパッチリとした目になりたい!そんな女性の願望を叶えるまつげエクステ。10年以上前、他社に先駆けてエクステ専門店を心斎橋で初めて開いたのが株式会社 GRAZIEです。今ではまつげエクステだけでなく、女性のための最新増毛サロンも展開しており、確かな技術力が信頼出来る老舗として女性の美を支えています。
美の追求に欠かせない「毛」を使った、たくさんの女性に笑顔をお届けしている働き方について、株式会社 GRAZIE 代表取締役 重原佳子様にお話を伺いました。
★第2回大阪府男女いきいき優秀賞受賞





まつげエクステとは、まつげエクステンションのことで、『マツエク』『エクステ』などとも言われています。皮膚やまぶたに直接まつげをつけるのではなく、今生えているまつげに人工毛を装着し、ボリュームアップしたり長くしたりするものです。

重原さん『元々美容に興味があって。この世界に入ったのは、母に勧められて美容学校に行ったのが一番のきっかけです。その後卒業して、10年ほど下積みという感じでエステの会社で働きました。当時はカウンセリングの仕事をしていて、お客様に美容のアドバイスをする仕事です。その後、独立したのは27歳です。独立資金は、父に援助してもらいました。
最初はエステサロンを経営していたんですが、独立した2年後、店舗のスタッフからマツエクをやりたい、という声が上がったんです。それがきっかけで、そこから技術を学んで、まつげエクステ専門店を関西で最初にオープンしました。
まつげエクステも進化していて、最近はいろんな毛で作られているんですよ。種類もたくさんあります。色々使い分けて、まつげの長さを変えたり形を変えたりするんです。』


女性が生涯働き続けるのも珍しくない時代。年を重ねても、ライフステージが変わっても、自分らしく働き続けられる環境に居続けることができるのか?美容業界も様々な課題があります。
GRAZIEは現在、若くして独立の場を提供。使っていない店舗をシェアサロンとして貸し出し、個人サロンの経営を促進しています。



気軽な独立店、シェアサロン






重原さん『以前は、店舗としてビルのフロアを借りていました。シャンプー台も施術台も全部置いて改装して。そしたら、その数ヶ月後になんばマルイ様から出店オファーがあり、「うちで出店しませんか?」って。チャンスだ!と思って、すぐに「やります!」
ビルはそのままにして、なんばマルイさんで店舗を出させてもらいました。
でも店舗を出したはいいものの、前のビルは借りたままで、家賃も払い続けていて…。もったいないな、何かすることないかな、と思っていて。そんな時に、昔辞めたスタッフの方から連絡があったんです。一緒に働いていた当時から自分でお店を開きたい、って言ってた子なんですけどね。その時は自宅サロンを経営していたんですが、方向性に悩んでいて…。その時に「空いてる場所があるからうちでやってみる?」って提案したんです。「心斎橋の好立地、内装も全部整ってるし、1ヶ月5万円のベット代だけだったら、万が一失敗しても大丈夫じゃない?」って。

私は幸い父に援助してもらえたけど、若くして独立したい人は、なかなか銀行からお金を借りることはできないだろうし、そんなにすぐにお金も貯まらない。シャンプー台なんて初期費用100万円はしますし。結局、自分の店を出すことが夢で終わってしまう人が多いんです。そんな人に空いてる場所を貸していったらいいんじゃないかなって。今では6店舗が入っています。シェアオフィスのサロン版みたいなイメージですね。難しい集客も、一緒に入居している個人サロン同士が協力し合ってできるんです。

自由に働けるので、今の若い子たちの働き方には合っているんじゃないかな、と。やる気がある人がどんどんやったらいいと思うんです。私は自分がカリスマになってどうこうするんじゃなくて、目の前の人達がどうやったら楽しめるかなって考えて、環境をつくるのが好きなんです。』

★シェアサロン店舗一覧

*小顔職人
instagram
https://www.instagram.com/kogaoshokunin/

*Total Beauty Salon
HTJ(エイチ ティー ジェイ)
https://www.instagram.com/yu_ki827666

*脳疲労リセットサロン
KARUNA BIO(カルナ バイオ)

*美髪専門(トリートメント 縮毛矯正)
CUORE Labo (クオーレ ラボ)

*nail salon 
three nine (スリーナイン)



現在、まつげエクステだけでなく3D増毛という最新技術も取り扱っています。3D増毛は、健康な髪の毛1本1本に人工毛を手作業で結んでいく技術のこと。薄毛だけでなく、手術の跡を隠すため、自宅で簡単にお手入れをするため、といった様々な理由で多くのお客様に選ばれています。


まつげエクステスタッフの第2ステージ






重原さん『今は専業主婦も少なくて、女の人も一生働く時代ですよね。でもこの仕事は、60、70歳になっても出来るかといったら難しいんです。老眼でだんだん見えなくなってくるし、そもそも働く場所がない。国家資格の中で一番使われていないのが美容師免許、と言われているんです。心斎橋で70歳のおばあちゃんが髪を切っているか、といわれてもなかなかいないですよね。今後も働き続けるためにはどうしようかな、と。

そんなことを考えていた時に、たまたま貰っていた増毛のパンフレットを見て。これだ!って思って。そこからスタッフさんに技術を学びに行ってもらって、スタートしました。増毛だったら、若いスタッフに施術されるよりも、長年働いたスタッフにやってもらった方が安心ですよね。増毛技術も鍵編みのように編んでいくものなので、施術師の技術差もほとんどないんです。トラブルも少ないですし。そこから30〜40代の女性ばかりを集めて、増毛サロンをオープンしました。』


海外にも増毛技術を!



重原さん『以前、キルギスの女の子たちにマツエクの技術を教えてあげて欲しいって言われたことがあったんです。男尊女卑がひどい国なので、女の子が自分で稼げるようにしてあげて欲しい、って。でもマツエクの技術は危ないし、言葉の違いもあって教えるのは難しいということで、その時はお断りしたんです。

でも、マツエクはダメでも3D増毛なら…増毛だったら危なくないし、言葉が違っても技術を伝えられる。この3D増毛は本当にすごい技術だし、海外にも髪の毛で悩んでる人はいっぱいいてるはずや!って思って。そこから色々と人が繋がって。マレーシアに住んでいる日本人が技術を習いに来てくれて、今ではマレーシアで展開しています。他にはシリコンバレーで活動している方もいますね。すべて紹介から繋がってますよ。海外では、日本人というだけで安心安全というブランドになっているので、技術を高く売ることができるんです。日本人の人にやってもらいたい!というのがあるみたいですね。いろんな国に広がっていくといいなと思っています。

SNSは一切しないし、テレビも見ないし、朝はジムに行って出社します。そうしないと、要らない情報がいっぱい入ってくるんですよね。それらの情報を得て、何かに活用できる仕事をしているのであれば、見とかないと知っとかないとダメだなとは思うんです。でも私の今の仕事に世界情勢や芸能人、事件の話は全く必要ないことなので、全部シャットアウトします。ストイックなんです(笑)。美容系の社長なのにFacebookしてないなんてびっくりします!ってよく言われるんですけど…繋がる人は必ず繋がると思っているので。SNSしなくても、マレーシアやシリコンバレーと繋がっていますしね(笑)。

これからは、もっと自分の枠を広げたいです。次の扉は開けてみないとわからない。次に何かが来た時に、また考え、扉を開けることをやっていきたいですね。』





重原さんのこれまでの事業はすべてが「人」を活かすことが中心にあり、そこを軸に進めた結果、新しいビジネスモデルになっていました。ストイックなのに、笑顔が印象的な重原さん。
仕事も女性としても、強く・優しく・自分らしく生きています。
たくさんの『ありがとう』と美が溢れる重原さんでした。

株式会社 GRAZIEは『OSAKAビジネスフェア ものづくり展+2019』
2019年11月20日(水) 於:マイドームおおさか に出展されます。
マツエクのクレンジング紹介と増毛技術の披露をされるそうなので、足を運んでみてはいかがでしょうか。



企業情報

株式会社 GRAZIE グラッツィエ
〒542-0086
大阪市中央区西心斎橋2-1-13 御津ビル 4F
TEL 06-6211-5007
http://www.grazie8.com/









株式会社マザープラス/『ママだから出来ること』を活かす、ママと社会のプラットフォーム企業


株式会社マザープラス

SNSが発達し、多くの人が個人で起業できるようになった昨今。今でこそ、様々な『働き方』がありますが、数年前まではそうはいかず、せっかくのキャリアやスキルを生かせず、子育てに専念する女性も多くいました。そんな中、2006年のベビーマッサージ教室から始まり、2008年に起業された株式会社マザープラス
ママの総合代理店として、社会との接点を持ち続けて輝いていく、そんな女性のためのお手伝いをし続けてきた会社のあり方を、代表取締役 巽 房子 様に伺いました。

マザープラスとは……
motherにたくさんのplusが加わる事で、すてきなママであるだけでなく、愛される一人の自立した女性として輝ける場と「社会参加の機会」を創造しています。 ママになった女性、ママになる女性、全ての女性をもっと元気に。ママの立場に立った様々な企画や事業を展開している企業です。




ママの総合代理店として、マーケティング業務やイベント業務、人材紹介業務など多岐にわたる事業内容を持つマザープラス。子供を持つママで構成された約12,000人もの会員の力を社会に届け、社会とのつながりを増やしていくために企業や団体の商品販売やサービスの宣伝、販売を行っています。

巽さん「マザープラスの前身として、お母さん向けのベビーマッサージの教室を始めたことが最初です。始めたきっかけは、次男が生まれた時。独身時代は人一倍働いていたものの、結婚を機に仕事を辞めたんですね。第一子の時はがむしゃらに子育てをしていたのですが、第二子の時はある程度余裕ができて、自分自信のことを考える時間ができたんです。そんな時、2ヶ月の次男の授乳中にふと考えたんです。子どもが自分の手を離れた10年後、いざ働こうと思っても、営業しかしたことのない自分は何もできないな……と。周りを見てもママ友ばかりで、『〇〇くんのママ』としか呼ばれない。私の名前を呼んでくれる人は1人もいない。
そんな後ろ向きなことばかりを言いながら子育てするのは嫌だし、何か社会に携われるような、人と関われるようなことがしたいな、と。そんなアンテナを張り出した時、テレビでベビーマッサージを知ったんです。これだ!と思って。4日後には民間資格を取りに行き、ホームページを作成、そのまま教室を開きました。ブログなどもない時代でしたが、口コミで人が集まり2年で500人が集まるような教室に成長したんです。」

『ママ』のベールを脱いだたった3万円の仕組み


巽さん「ベビーマッサージの教室では、たくさんのママたちの話をたくさん聞くことができたんですね。よくよく話を聞いていると、『ママ』というベールを被っているだけで、ベールを脱ぐと隠れた才能を持っている方がたくさんいらっしゃって……。なんでこの人たちは、赤ちゃんを抱っこしているからといって、社会の生産人口に入れてもらえないんだろう、と感じたんです。
最初ベビーマッサージをやり始めた時は、私事のやりたいことを叶えるものだったのですが、私が最初やったように、たった3万円でも稼げる仕組みを作るだけで社会と繋がることができて、赤ちゃんとばかり喋るのではなく、大人と喋ることができて……心にも栄養分が行き届くのではないかなと。多くのママと携わることによって気づいたんです。これが、マザープラスを設立したきっかけです。」

社会とつながりたい、というママの思い。その思いに自信が持てないのは、『私なんて』という子育てに真剣に向き合うからこそ生まれた、社会の中での自分自身の無力感かもしれません。

巽さん「教室は口コミで大きくなっていきました。だから組織として強かったんだと思います。リアルに3万でも稼ぐことができる場、ママ同士が繋がることができる場として広がっていきましたね。」



ママのプラットホームとして


巽さん「主婦も、楽しかったんです。ただ、1人の人間としてアイデンティティーがあるわけで、子どもの母親として自分の名前も呼ばれない生活が何年も続いてしまうと、自分が無くなってしまったような気がして不安に苛まれる人がすごく多い。なので、絶対に『〇〇くんのママ』ではなく本名で呼ぶようにしていました。
ママをちゃんとしながら、社会と携わって社会の役にも立って、収入を得ることができる。そんな本当の意味でのママの働き方改革を社会に知らしめていきたいです。これだけ長い間、ずーっと男性が作り上げてきた産業社会。その歯車には、ママはなれないよ、と私は思うんです。仕事以上に大切なのは、家族ですから。そこがブレて仕事ばかりしていても、何か欠落したものになってしまう。ママだからって諦めなくても、私だからこそできることを、マザープラスは一緒になって広げていきたいです。答えは既にママの中にあるので。そして仕事を斡旋するだけでなく、情報が回るプラットホームになればいいなと思います。」


ママほど戦力になる人材はいない


巽さん「ママたちの心のネックは、『私なんて……』です。やる前から、リスクを考えて失敗したらどうしよう、損したらどうしよう、と先のことばかりを考えてしまうようです。私たちはリスクヘッジをして、ママたちが参加しやすいような仕組みを作っています。
今やインターネットがつながれば、世界中と仕事ができます。今やご支援いただいている企業様は、たくさんいらっしゃり、その仕事を細分化してママたちにお渡ししたり、週に1回でも出てきてもらってお仕事をしてもらったりしています。」

マザープラスを設立して12年。ママたちが活躍し続ける場を提供してきた中で、もっと女性が働きやすくなるためには、どのような社会が理想なのでしょうか。

巽さん「働くママに対する理解が、もっと深まるといいなと思います。ママを1人で雇うのではなく、1つの事業やプロジェクトを3人ぐらいで回す、とか。子どもの急な発熱やトラブルでも欠員が出ることなくママは働くことができますし、事業やプロジェクトもストップしませんよね。ママだから子どものことで仕事を休む、というのは無責任ではないし、それは会社が作る仕組みの問題だと思うんです。働くための仕組みも作らず、企業努力もせずママだけが矢面に立つのは違いますよね。

ママほど戦力になる人材はいないと思うんです。就労時間は短いかもしれませんが、その分集中して仕事を仕上げるだけでなく、ながら作業は女性しかできませんからね。もっと働きやすい風土、仕組みの創造がもっとできたらいいのに、と。そんな場を作って欲しいなと思います。企業として今までやっていたことは、今の時代にはミスマッチということに気がつかなければならないと思います。」



ママのポテンシャルがもっと生きる日本に


巽さん「今の日本は赤ちゃんを抱っこしたママでも働き手にならないと、回らなくなるほど崖っぷちにきていると思うんです。ママは仕事を一番にはできません。ただ、ママを活かすために必要なのは、仕組みづくりかなと。
今後のビジョンは、全国のママ達がどうつながって、情報交換であったり仕事のシェアであったりを作って。ママの社会的立場はまだまだ低いです。それをマザープラス一社がどうにかしようと思っても、点でしかないんです。皆が手を繋いで改革を起こして線にしていかなければ意味がない。全国のママ達とつながりを持って、ママができることをどんどん生み出していきたいな、と。企業から企業にだけ資金が巡るのではなく、ママのポテンシャルを信用して、どんどんお仕事を廻す価値を痛感して欲しいです。」

一億層活躍社会の実現には、子育て支援だけではなく、女性の働き方改革も大きな鍵を握っています。これから先も、女性のスキル、経験を活かしていくための場として、マザープラスが社会と女性との架け橋としてより一層活躍する姿が目に浮かびます。




企業情報

株式会社マザープラス
代表取締役巽 房子
本社〒541-0056
大阪市中央区久太郎町3-5-5丸忠第一ビル303号
TEL:06-6125-5967
FAX:06-6125-5968
https://www.motherplus.net/index.php






三洋商事株式会社/あらゆる部門に女性を!リサイクル企業の様々な挑戦。


三洋商事株式会社

いい仕事をするために大切なのが生活との調和。そのバランスを取るためには従業員一人ひとりの働き方を作り上げる、会社の在り方にかかっています。
東大阪市にある三洋商事株式会社は、パソコン・携帯などの通信機器や建設解体撤去工事で出た資源、更には電車まで様々なものをリサイクルしている会社です。
危険なイメージのある産業廃棄物解体業者という職場ですが、女性従業員はなんと70名ほど在籍し、みなさんイキイキと働いていらっしゃいます。

第9回ワークライフバランス大賞優秀賞受賞、経済産業省主催ダイバーシティ経営企業100選受賞、従業員とその家族の幸せを何よりも大切にすることを社是にする会社の魅力を、人事・広報グループ グループリーダー 水野智達 さんに伺いました。




あおSORA ACTION!


「あいさつ」を継続することで、活気ある職場と温かい人間関係が築けます。
「お掃除」を継続することで、事故が起きにくい安全な職場環境がつくれます。
「SKH運動(※)」を継続することで、相手を思いやる気持ちが生まれます。
 ※Sは名前の「さん」付け運動、Kは敬語の奨励運動、そしてHは品位ある行動規範です。

三洋商事で仕事をするための最低限のルールを言葉にした、あおSORA ACTIONという行動指針。これは、三洋商事が求めている『あるべき人材像』です。この3つの行動指針を意識した言動は、簡単そうに見えて、いざ実行すると非常に難しく、だからこそあいさつとお掃除、SKH運動」を当たり前のように毎日継続して取り組もうと各職場に掲げています。

水野さん「環境や自然、といったイメージにつながるように、あおSORA ACTIONというネーミングです。この行動指針も始まってずいぶん経ちますが、導入当初は社員の抵抗がかなりありましたね。業種的に、コミュニケーションを取る上でやや言葉が乱暴になりがちなので…。
それに対して敬語の徹底を行いました。結果的に、風通しのいい人間関係が構築されましたし、挨拶などが明確にルール化されたことで、余計な気を遣わなくても良くなりました。当時は社長自身が徹底して行い、先頭に立って導入しました。

挨拶は基本ですよね。ねぎらいや感謝の言葉につながってくる言葉です。
お掃除も、ただ美観を保つためであれば従業員が行うのではなく、外注した方が生産性を下げずに済みます。ただ、自分たちでやることで気づきを得たり、安全対策につながったりします。ここはお客様に来ていただく場所、会社の仲間と過ごす場所なので、掃除を通じて感謝の念を育むことにつながり、帰属意識の向上にもなります。

この3つの指針につながってくる根源は、『地球にありがとう』という経営理念を実践するための指針につながってきます。
いきなり地球、と大きく捉えられなくても、お客様や会社の仲間、友人、家族に感謝を伝えていくための行動に落とし込むための指針であれば、考えやすいと思います。これはどんなに仕事のスキルが卓越していたとしても、行動指針のどれか1つでも実践できていなければ、同じ会社で働く仲間としては迎えられない、という最上のルールとして位置付けられています。」



従業員とその家族を幸せにするための様々な制度の導入


コアタイムのないフルフレックス制度を導入し、業務の平準化と総労働時間の削減を図ったり、勤続5年以上の従業員は有給休暇とは別に連続9日間の長期休暇を取得できるようにしたり、女性が活躍できる環境を整えたり…。従業員目線で、多くの制度を導入している理由は何なのでしょうか。

水野さん「フルフレックス制度の導入は、好きな時間に出社して好きな時間に退社する…と言うよりも、勤務超過時間の調整や、偏った残業時間を調整するための要素が強いですね。現段階で、全従業員の残業時間は平均で月10時間前後に収まっています。繁忙期と閑散期の波や、一部の部署や社員に仕事量の偏りが全くない、と言うわけではないので、そこの解消につなげています。また、日頃から一つの仕事を複数人で共有することで、誰かが抜けてもフォローできるような体制作りをしています。

『BLT』というプロジェクトも整えて日々の仕事を進めています。BLTとは、Best…すてきな、Lady…女性、Transition…変遷・移り変わり、のことで、ここで働く女性には、働く場をオフィスだけにとどめず、あらゆる部門で活躍できる女性であって欲しいという願いを込めて、女性も産業廃棄物処理現場に出て一緒に作業をする事を日常にするためにもこのネーミングをつけました。




今でこそ弊社は、現場でも女性が活躍する環境になっていますが、この制度導入当初はやはり戸惑いもありました。女性がヘルメットをかぶって汗水垂らして働く…という姿に個人的に抵抗もあったのですが、会社全体として成長していく上で、男女関係なく誰しも活躍できる環境という点で考えた時に、必要なプロジェクトでした。
これは女性が現場で働くためだけが目的ではなく、現場も経験した中で、物の流れや商品の価値、社内での業務フローを理解することによって、違う部門に行っても働くためでもあります。将来的には、全従業員がどの部門でも活躍できる組織が理想ですね。

職種は、本人の希望と適性判断を1on1で行い、個人の目標や課題を共有して次のステップに行くためには何をするべきか、今何ができていて何が足りていないのかを協議しています。」


プロジェクトの立ち上げの際、活躍したのは育休後に戻ってきた女性だったそうですね。


会社がプロジェクトを立ち上げる時に、ずっと働いてくれていた女性が自らリーダーに名乗りを上げてくれました。会社が『女性だからこんな仕事、こんな制度が必要』と提案して用意するよりも、実際に女性が現場に立って、できる仕事や難しい仕事、こんな環境であればモチベーションが上がる、といった声をあげてくれたことで、会社がその環境を用意していくことができたのです。

あがった声をもとに徐々に制度を整えていった事で、子育て支援の優良企業に与えられる、くるみん認定(「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定)も2011年の段階で取得しています。
美容手当というものもあります。屋外で仕事をするので日焼けが気になる、という声があったので、現場に配属される女性は月に1万円支給することになりました。女性用のカフェ風の休憩室を用意したり、アンダーウエアが透けないようなシャツを支給したりと様々な環境が整っています。



5年後10年後を考えた時に、現場だけで女性がリーダー層を占めていくことは難しいですし、社内の仕組みを理解した上で、采配をふるえる人間を育成していく必要があります。そこを目指したプロジェクトでもあるんです。

あおSORA ACTIONという行動指針の浸透があって、働きやすい環境づくり、土台作りが整っていたからこそ、BLTプロジェクトは進めることができましたね。」


人類の枠を超えた多様性を受け入れる


様々な社員を雇用しているこちらの会社では、犬やヤギが雇用されており、彼らは職場に癒しを提供してくれているそうです。


水野さん「社員には、ヤギもいますよ。雇用に至った理由ですか?奈良の広大な敷地にある営業所の雑草が気になっていまして…。人間社員が雑草を管理していたのですが、ヤギさんに食べてもらうという委託をすることで、業務効率化を図るためです(笑)期待値以上の働きを見せてくれています(笑)。従業員も多様性ですね。

これからのBLTのビジョンは、女性の管理職をどんどん増やしていくことですね。女性活躍セミナーを行い、会社支援も行っていきたいです。そしてBLTのみならず、いろいろ挑戦してきたのでこれからも会社として様々なことに挑戦していきたいですね。」



今後どのような制度が整っていくのか、ますます楽しみですね。会社への熱い思いを懇々と語ってくださった水野さん、ありがとうございました!


企業情報

三洋商事株式会社
〒578-0984
東大阪市菱江2丁目4番10号
TEL. 072-961-6043  
FAX. 072-961-9359
https://sanyo-syoji.co.jp









式会社ミライロ/あらゆるバリア(障がい)はバリュー(価値)に変えられる。


株式会社ミライロ

株式会社ミライロは、車椅子での生活を送る 代表 垣内俊哉さんが立ち上げた会社です。
垣内さんは、生まれつき骨が折れやすい『骨形成不全症』により、車椅子での生活を送ってこられました。2010年、車椅子だからこそ気付けること、伝えられることを社会に活かすために会社を設立。障がいを価値と捉えるバリアバリューの視点から、誰もが安心して快適に過ごすことができるユニバーサルデザインのモノやサービスを生み出すソリューションを提供しています。
誰しもが抱える弱みやコンプレックスは、視点を変えればそれは強みです。
弱みやコンプレックスなどのバリア(障がい)は、強みであるバリュー(価値)に変えることができます。

その理念は「Japan Venture Awards 2018」で、ミライロが最高位賞「経済産業大臣賞」を受賞、「関西財界セミナー賞」特別賞を受賞するなど受賞歴は多く、その存在が広く認められています。
『バリアバリュー』という企業理念を持つ会社としての思いを、広報部 神保さほりさんに伺いました。





遺伝性の病気と共に生まれてきた垣内代表



オオサカジン編集部:株式会社ミライロを、垣内代表が立ち上げたきっかけを教えてください。

骨形成不全症という、骨が脆く折れやすいという魔法にかけられて生まれてきた垣内。小さい頃は、転んで骨折、友だちとぶつかって骨折…という日々でした。だんだん筋肉が衰え歩けなくなり、小学校高学年の頃には車椅子の生活となっていきました。その後、小さい頃からの『歩きたい!』という夢を叶えるために、高校の頃にリハビリに数年通ったのですが、そこでは結局歩けるようにはならず…。
夢は破れてしまいました。
小さい頃からの夢は破れたものの、リハビリ生活での出会いやアルバイトなど、様々な経験を経て、自分で稼げるようになろうという夢が新たに芽生えます。その夢を叶えるために大学で経営学を学び、大学3回生の時にミライロを立ち上げました。


歩けないことに誇りを持て!



オオサカジン編集部:企業理念である『バリアバリュー』は何がきっかけでできたのですか?

大学生の頃、制作会社でアルバイトを始めた時のこと。最初は車椅子なので、パソコン業務などをするのだろう…と思っていたものの、そこの社長に「営業だよ。」と。
自分は車椅子なので、そもそも移動に時間がかかるし、車椅子が入れる、通れるオフィスも限られてしまう。そんな営業マンとして不利な状況に苦戦しました。
そんな中、会社を絞って営業に回りました。車椅子でも入れる、営業に行くことができるオフィス。同じ会社に何度も足を運ぶうちに、顔を覚えてもらい、話を聞いてもらえるようになり…そこから受注に繋がりました。

自分は、歩けないから、覚えてもらえた。
歩けないから、営業としての関係を確立できた。
車椅子だから、トークを磨こう、会社一件一件に集中しよう、と自分が精一杯できることを考え、スキルを磨くことができました。


「車椅子でも出来ることではなく、車椅子だから出来ること、自分のバリアをバリューに変えることが出来る!」と実感したことから、これが後に立ち上げるミライロの企業理念になりました。




オオサカジン編集部:理念を元に、会社を立ち上げたのですね。
          では、ミライロは最初、どんな仕事から始めたのですか?


最初に始めたのは、大学内のバリアフリーマップを作成する、というものです。普段キャンパスで生活をする中で、どこに多目的トイレがあって、どのルートが行きやすくて…というのがわかりにくかったんです。会社を立ち上げた当時、垣内が学生だったからこそ、障がい者だからこその視点を活かして、マップ作成を行いました。

オオサカジン編集部:まさにバリアバリューですね!
          そんなミライロという会社では、どんな方が働いているんですか?


身内に障がいがあったり、小さい頃から障がいのある方と関わってきたりした社員が多いですね。
ミライロで働く中で、目に見えて社会がより良くなっていくのがわかる、その変化に一つの歯車として関わっているのが実感出来る、何か社会貢献をしたい。
そんな思いを持った方が多く働いています。

6つのソリューションを提供



オオサカジン編集部:ミライロでは現在、どのようなサービスを行っているのですか?

高齢者、障がい者、LGBT、外国人など、移動や生活に不安を感じている人の壁は3つあります。それは「意識の壁」、「環境の壁」、「情報の壁」です。
これらを解消するために、ユニバーサルマナー、ミライロ・リサーチ、ミライロ・アーキテクチャー、ミライロ・クリエイティブ、ミライロ・コネクト、ビーマップ、という6つのソリューションを提供しています。

オオサカジン編集部:6つのうちの1つ、『ユニバーサルマナー』について詳しく教えてください。

高齢者や障がい者、ベビーカー利用者、外国人など、多様な方々を街で見かけます。一人ひとりに向き合い、適切な理解のもと行動することは、特別な知識ではなく「こころづかい」の一つです。
多様な方々に向き合うためのマインドとアクション、それがユニバーサルマナーです。
このユニバーサルマナーの検定を2013年8月から実施しています。この検定は、現在受講者が6万人に登り、導入してくださっている会社は600社に上ります。大同生命さんは、2017年全役職員7200名の方が受講されています。また、イオングループさんは、2020年までに従業員7万人が受講予定です。




ハードは変えられなくても、ハートは変えられる



最初は、バリアフリーマップなどハード面を整えていきました。しかし、ハード面だけで誰に対しても完璧に整えられた状態にする、ということが難しいんです。
例えば、視覚障がい者の方のために、点字ブロックを整えても、それは車椅子の方にとっては通行しにくい、といったように。

でも、ハードは変えられなくても、ハートは今すぐ変えることができるんです。人との向き合い方や接し方は変えられます。

オオサカジン編集部:ハートを変えていくための検定なのですね。

目の前の方のことを考えて、寄り添って行動しましょう、という思いやり。これをマナーとして、当たり前として、身につけていくための検定です。

日本はハード面の整備は進んでいて、バリアフリー先進国です。一方でソフト面が諸外国に比べ弱いです。最初の一歩が、遠慮や気遣いで踏み出せない。海外に調査に行くと強く感じますね。整っているハードがあるが故に弱いソフト面をユニバーサルマナーで整えていく、という姿を目指しています。

オオサカジン編集部:その他のソリューションは、どのような内容なのですか?

『ビーマップ』というのは、外にでかけるときに、どこにどのような設備があるのか、どんな設備が整っているのかの情報が乗っているアプリのことです。バリアフリー情報(段差がない、店内車椅子可能、など)をスポットとして登録できる、食べログのバリアフリーバージョンのようなものです。

また、『ミライロ・コネクト』というのは聴覚障がい者の方が電話をしたい時、会社の窓口で対応して欲しい時などに手話通訳士が遠隔通訳するものです。




オオサカジン編集部:これらのコンテンツは、どんなところから生まれるんですか?

実体験によるものです。
垣内と食事に行くこと一つにしても、車椅子で行ける店を探す必要があり、意外と見つからないんです。ただ、食事の度に探し、障がい者目線で有益な情報は、同じように障がいのあるみんなでシェアしたらいいよね、という話から生まれています。常に、オフィス内に障がいのある社員がいる状態なので、日常から気付きなどは多いです。
こうやって、すべて実体験から出来上がっています。

オオサカジン編集部:常に気付きがある環境の中で、バリアをバリューに変え、社会を変革しているんですね!

2016年の障がい者差別解消法、2020年のオリンピック、パラリンピック、さらに2025年の大阪万博を契機に様々な角度から、バリアを解消するための取り組みが必要となります。
今後、ますます必要とされる中で独自の発展が楽しみな企業です。



企業情報

株式会社ミライロ
〒532-0011
大阪府大阪市淀川区西中島3-8-15 新大阪松島ビル8F
Tel : 06-6195-7853  
http://www.mirairo.co.jp/







株式会社KMユナイテッド/技は一流から学びとる!塗装業界の常識を変えた「職人育成プログラム」


株式会社KMユナイテッド

1月28日、安倍首相の施政方針演説の「1億総活躍」の冒頭、社名には触れなかったが、女性が活躍する好例として紹介された企業が今回の株式会社KMユナイテッドです。
塗装業界の現場就業者に占める女性職人の割合は3%に満たないとされるが(株)KMユナイテッドは40人の内約20%の10人が女性です。今春も6人採用予定の半分が女性です。

職人の世界は、「技は見て盗め」が常識。そんな業界の常識も、今や塗り替えられてきています。
塗装会社大手(株)竹延のグループ企業である(株)KMユナイテッドは、職人の育成を目的に作られた会社です。
関西塗装業界での一流ベテラン職人(職人歴59年のFさんは瑞宝単光章叙勲)を指導者として再雇用し、マンツーマンに近い形で指導にあたり、未経験者でもプロの職人に育て上げるという独自の育成プログラムを作り上げました。
その結果、女性でもわずか4年目で現場の職長になれるほどのスキルを身につけたり、多様な人財が活躍できる場所となっています。


職人の多い塗装業界にとって奇跡ともいえる様々な改革は国や団体から多くの表彰を受けたことでもわかるように大きな成果となりました。

※“働き方改革“関連表彰3冠達成!
2018年厚生労働大臣表彰「グッドキャリア企業アワード・大賞受賞」
2017年厚生労働大臣表彰「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰・最優秀賞受賞」
2016年経済産業大臣表彰「新・ダイバーシティ経営企業100選」

一億総活躍社会が実現される『人財育成プログラム』。経験を積みながら、着実にステップアップ出来るプログラムの内容や導入の背景、人材の活躍状況について、株式会社KMユナイテッド 執行役員 人財育成責任者 倉田真由美様にお話を伺いました。


職人は『背中を見て学べ』の世界

オオサカジン編集部:KMユナイテッドが設立された経緯を教えてください。

リーマンショックの影響で、建築業界全体が縮小、親会社の(株)竹延もどん底の状態に陥りました。業界全体が先細りしていく上に、職人の世界は「見て学べの世界」のため、人が育たず人手不足…。これでは業界自体が消えていく。代表の竹延幸雄は相当の危機感を持ちました。
一人前の職人を育てるには、全てやっていては10年かかるのでいかに短期間で育て上げるか。現場作業を分析してみると、ペンキ塗りの出来栄えは職人の腕によるところが大きいが、パテや下塗りの前工程は比較的容易に習得できることが分かりました。全く他業界から来た社長の竹延だからできたんだと思います。そこで職人育成、人財育成を目的に当社が設立されました。
未経験者や年齢性別、国籍を問わない積極採用を行い、独自の人財育成プログラムを構築しています。

オオサカジン編集部:育成プログラムは、どのような内容なのですか?

独自の育成プログラムは、作業を細分化し、特化した仕事に集中させ、教えて教えて教えて育てることで、未経験者でもしっかりと育つことができるプログラムとなっています。


最初は、ベテランインストラクターによるマンツーマンでの下処理の積み重ねです。入社前研修を行い、「富士教育訓練センター」(運営主体は職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会)という静岡県にある施設での研修も合わせ、左官基礎を学びます。その後、経験を積み、塗ることを許されたサブインストラクターとなり…と段階を踏むようになっています。
指導方法も、現場での実践だけでなく、テレワークやiPadなどを見ながらの技能習得も行っています。いかに短期間で習得するかです。これらの習得方法が導入されたため、当初は3年かかるとされていた技術習得が、最短1年半で出来るようになっています。



富士教育訓練センターでは、同じ建設業界に携わる他社の仲間に出会えることができるので、いい刺激になっているようですよ。

オオサカジン編集部:育成プログラムの構築だけでなく、動画での技能公開も行ったのはなぜなのでしょうか?
自社だけの技能としてしまうと、建築業として、日本としての職人の技能が途絶えてしまいます。まずは技を「記録する、残す」ということが目的でした。技能伝承ですね。

その後、全国区で技能伝承が課題とされていたので、いつでもどこでも動画アプリ「技ログ」としてスマホで一流との違いを誰でも見ることができるようにしました。動画を見ることで、トップクラスの職人技だけでなく、その職人さんがどんな道具を使っているのかも知る事ができ、それを購入できるオンラインショップ「ペイントナビ」までオープンするようになりました。

建築関係の職人の世界は、技を隠し、下に教えるということがなく、技能の伝承が出来ない社会でした。しかし、動画によって技能伝承が可能になりました。さらに、高齢化に伴い現場に入れなくなったトップクラスの職人も、技能の伝承者・指導者として再雇用につながっています。
ただ今まで『教える』ということをしてこなかったので、最初は教え方がわからない苦労もあったようです。
しかし若い方に技能を教える事で皆さんはますます元気になったという副産物もありましたね。


一億総活躍社会の実現

オオサカジン編集部:女性の方がたくさん働いていらっしゃいますね。女性が建築現場に入ることによって、どんなことが変わっていきましたか?

体のつくりがそもそも違う男性と女性は、建築現場で作業できる範囲も法律によって定められています。ですので作業をデータ化し、体力面・法律面で見た時に女性に出来ること、出来ないことを分けました。その中で出来ることを行っています。業界では珍しい女性更衣室の設置などの労働環境整備も行いました。

さらに女性の声から塗料を水性塗料へ完全に切り替えました。塗料が身体に及ぼす影響を考えてのことでした。水性塗料に切り替えたことで、従来は臭いが出るため夜間が中心であった作業が水性塗料に切り替えたことで、日中も作業が可能になりました。
この事でコストが60%カットされ、結果として従来の3倍近い生産性の向上にも繋がっています。

*女性活用による塗料の話は、今年1月28日の安倍首相の施政方針演説の「1億総活躍」の好事例として演説の冒頭に取り上げられました。

女性はセンスがあり、手先が器用です。そして、根性が座っています(笑)
もともとは、働きたくても育児などで働けない方や外国人などいわゆる労働弱者にターゲットをあて、採用をスタートしました。しかし、建築現場でイキイキと働く女性職人の姿が、自らの将来像としての魅力を感じ、興味を持ってくれる女性の方が増えていきました。

今後も、『人財育成プログラム』でプロ職人を育て上げていきます!
昨年から始まった大阪万博「太陽の塔」内部の一般公開が始まり大変好評ですが、塔の内部を塗り直す作業を請け負ったのは弊社ですが、その職長である現場責任者も29歳の女性なんですね。(編集部一同驚き)

職人業界も業務を「見える化」し、可能な範囲で若い人材を積極的に登用する。
ベテラン社員と融合する風土が整っていれば、未経験や年齢、性別、国籍など関係なく、一人ひとりが活躍できる職場となるのでしょう。
一億総活躍社会の実現とは大上段で構えず、今回の(株)KMユナイテッド様がその見本を示していると思いました。




企業情報

株式会社KMユナイテッド
大阪・採用本部

〒534-0014
大阪府大阪市都島区都島北通1-2-14 
TEL:06-6929-1175
http://www.paintnavi.co.jp/kmunited/









株式会社モトックス/約半数を占める女性社員。多様化展開するお酒の老舗商社


株式会社モトックス

株式会社モトックスは、ワインを中心としたお酒の専門商社です。
その創業は1915年(大正4年)と古く、もともとは「元なしや」という乾物やお酒を小売りする商店から始まり、戦後はビールや清酒などを扱っていました。
1990年代からは他社との差別化を図るために主力商品をワインへと切り替え、会社名も現在のものへと変更。時代に合わせて事業を転換しながら成長を続けてきた会社です。

現在の全社員数は約180名、その約半数を女性社員が占める同社では、女性が働き続けられる環境の整備を行っている最中です。
今回は、女性社員が働きやすい環境作りや社風について、管理部 人材開発チーム チーフの滝田景子様に話を伺いました。
また、滝田様ご自身も育休から復帰して勤務していることから、そのご経験を通して感じた社内風土についてもお聞きしました。



女性が働きやすい環境の整備

私が入社した時の弊社は、今よりも社員の人数も少なくて、女性社員は結婚して妊娠や出産をすると退職する方が多かったように思います。けれど今は当時よりも社員が増え、もちろん女性の数も増えています。そういう社内の状況が背景にあり、もっと女性が長く働き続けられるように環境を整えていくことになりました。
そして、2014年から子育て支援制度を導入したんです。この制度により小学校就学前までのお子さんを持つ社員は、残業をしない形の勤務や時短勤務を選択できるようなっています。

それから制度ではありませんが、実際に復帰して子育てしながら働いている先輩ママさんの経験談を集めた『働くおかんバイブル』も作りました。子どもを保育園に入れるまでのステップや、復帰後の働き方のタイムスケジュールなどの具体的なノウハウを、これから産休・育休を取る人に共有するためです。



子育て中の女性社員の情報交換の場

実は、私自身が昨年の4月に育休から復帰して、まだ1年経っていないところなんです。
入社した当初は営業職で、大阪・東京で合計4年半ほど、大手の百貨店や酒屋やスーパーなどを担当していました。その後人事に移動して、新卒採用や先ほどご紹介した子育て支援の制度を検討する業務を担当した後に、産休に入ったんです。
復帰後は社内の労務管理を担当しています。復帰から半年は時短勤務を、現在は残業無しのコースを利用中です。



実際に子どもがいながら働いてみると、困る場面もわかってきました。
子どもが熱を出して休むこともありますね。最近は常に「明日休むかもしれない」と思って、業務を前倒しで進めて、明日できることも今日やってしまうようにしています。
そしてどうしても休まなければいけない時は、以前労務管理を担当していた同僚と上司にメールで今日やるべきタスクリストを送るようにして、情報共有をしっかり行うようにしているんです。

社内では、子育て中の女性社員で集まってランチ会をすることもあれば、休みの日に集まってワインを飲みながら子育ての情報交換をすることもあります。これから出産して育休を取る社員も呼ぶこともあるんですよ。
そういう場で先輩のママさん社員に悩みを聞いてもらったり、もう少し成長したらどういうことがあるか教えてもらったりして、とても助かっていますね。
こういう集まりは会社の取り組みや制度という堅いものではありませんけれど、モトックスはもともとそういう相談がしやすい風土の会社なんだと思います。

今は人事という制度を作ることができる立場にいるので、まだある課題に取り組んでもっと時間の融通が利く形も考えていきたいです。実際に自分が経験していることも活かして、社員がより働きやすい会社にしていきたいと思っています。

企業情報

株式会社モトックス
【大阪本社】
〒577-0802 大阪府東大阪市小阪本町1丁目6番20号
TEL 06-6723-3131
http://www.mottox.co.jp/











株式会社センショー/めっき業界を男女共同にした、女性経営者の思い。


株式会社センショー

株式会社センショーは大阪市西成区にあるめっき加工会社です。銅・すず・ニッケルなどの金属表面処理加工で躍進の企業です。中小のめっき加工会社では珍しく『大阪市女性活躍リーディングカンパニー』の認証を取得。
女性として製造業の代表を務める株式会社センショー代表取締役堀内麻祐子様に女性が活躍する同社のお話を伺いました。



会社の未来を見据えて、女性の現場進出を実現

堀内社長が代表に就任したのは平成23年のこと。当時は2人しかいなかった女性社員も、現在は全社員65名のうち16名が女性社員。しかもほとんどの方が20歳代だということです。

「私は6年前、前身であるめっき工場の社員と共に株式会社センショーを設立しました。日本の誇るべき"めっき"という技術を継承する事が使命だと思ったからです。
当時の職場は高齢の男性社員が多く、これでは5年後、10年後の会社のビジョンは明るくないと思いました。
そこで、人材会社のインターンシップ制度などを利用して、まずは男女問わずに若い人の採用を進めました。さらに、徐々に女性の採用も増やしました。もともと女性社員は事務や管理の仕事が中心でしたか、私自身いざ現場で仕事をしてみると、女性でもできる!と強く感じました。そうした経緯から女性も現場で働いてもらおうと思いました。」

当初、ベテランの男性社員の皆さんは、『女性に務まるのか』と疑心暗鬼の様子でした。もともと男性の職場というイメージの強いめっき業界ですが、そうした固定概念を変えたかったと堀内社長は続けます。

「今は生産ラインがありますので、以前のように力仕事の部分は少ないと思います。それでも治具かけなどでは10キロ相当の金属をかけなくてはなりません。これは男性でも容易ではないので、2人で行うことにしています。あと、男女の違い…はそんなに感じませんね。もちろん場合によっては、男性のベテラン社員に若い人を指導してもらうということはありますが、今は、ベテランの男性社員と若い女性社員が一緒になって業務しています。」

最初はトイレも男性用一つという状況だったそうですが、会社内の施設整備を行い、トイレの増築、ゆったりとした食堂など女性にもくつろげる施設を増やしています。

「今、現場では、女性社員8名が活躍しています。男性社員にも負けない働きぶりですよ。女性社員が活躍していることで、職場の雰囲気も明るくなり、結果として会社全体にチャレンジ精神が生まれ、好循環をもたらしていると思います。それとこれは一概には言えませんが、キメ細やかな作業は女性の方が向いているようにも感じます。営業職というのも細やかさが求められますよね。現在、生産管理部に女性部長がいますが、今後は女性だけの営業部隊を作りたいですね。」

女性が輝く職場は、会社のブランド化につながる

株式会社センショーの特徴の一つに、社員の声を大切にし社員一丸となったコミュニケーションの良さがあります。それには社内報の制作効果が大きいと言います。

「京都の切削加工の会社に見学に行った時、その仕事の効率の良さと社内のコミュニケーションの良さに驚かされました。聞きますと、社内報を作られているということでした。この話を持ち帰ったところ、賛成意見が多く出ました。同じ会社にいながら、現場(=4工場)や部署が違うとなかなか接する機会もありません。他部署の人のことやもちろん仕事の方向性など、まだまだ小さな会社ですが、共有するのに社内報は有効だと思ったんです。さらに、波及効果として社員の親御さんからも“子供の勤めている会社のことがわかって安心だ”と好評を得ています。コミュニケーションの部分ですと、社員旅行は当然ながら懇親会なども定期的に開催しています。



社員教育にも力を入れており、全社員を対象にしています。まだまだ若い人が多いので、仕事はもちろん、ビジネスマナーなどの社内研修を開催したり、座学なども行うようにしています。日本規格協会が認定するQC(品質管理の知識)検定に当社から3名の女性社員が合格しています。そうした実績から、『大阪市女性活躍リーディングカンパニー』の認証を取得しています。」

現在、女性活躍推進法の一環として一定の基準を満たし、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業について、厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けた企業はその証である『えるぼし』マークを商品や広告、名刺、求人票などに使用することができ、女性の活躍を推進している事業主であることをアピールすることができます。

「当社では、現在『えるぼし』の認定を目指して、女性が活躍する企業への改革をさらに進めています。また、今は独身の社員が多いのですが、今後は育児休暇や勤務時短制度なども整備して、女性が働きやすい会社にしたいですね。」

女性が活躍する会社をリアルに実現している株式会社センショー。「女性が輝く職場」として、あらゆる場面で認知され、それが株式会社センショーのブランド化につながっていました。


企業情報

株式会社センショー
〒557-0063大阪府大阪市西成区南津守5-2-64
TEL 06-6657-0007
http://www.sensyo-ltd.co.jp/








フォトスタジオ セルフィット/女性スタッフ90%、産休後の復帰率100%


フォトスタジオ セルフィット

今回お話しをさせて頂いたセルフィットはこれまでの写真館の「格式張った堅苦しい」イメージとは異なり、20~30歳代の元気な女性が丁寧にお出迎えしてくれるフォトスタジオ。

お店は遊び心のある装飾と落ち着いた色合い。スタッフはカジュアルな服装ですが「親しみやすいけど、丁寧」な接客がリラックスできる空間を演出しています。現在、証明写真の分野では関西トップクラスの実績を誇り、急成長中。スタッフの9割が女性という同社で専務取締役を務める谷本 千尋様に、女性が活躍する職場についてお伺いしました。

働く人へのホスピタリティ

 ─採用戦略上の理由から、女性スタッフを増員していったのでしょうか?

創業当時(11年前)は証明写真専門のお店でした。8年前に記念写真や就活写真など業務メニューを拡げ、フォトスタジオに業態を拡大しました。カメラマンは当初男性の社員が多かったのですが、徐々に女性の応募も増えてきました。カメラマンのお仕事は一般的には撮影時は被写体を撮ることだけに集中する、つまりシングルタスクと考えられていますが、弊社のカメラマン業務は撮影だけということではなく、受付や電話対応などマルチタスクなんです。そのため撮影時の衣装や着こなしのチェック、メイクなど広範囲で細かい気配りが必要になります。

女性の方は、撮影と同時に接客対応や電話受付などの広範囲に業務をこなすメリットがあるように思います。そういった気質からなのか、女性スタッフの人員構成が高まったのですが、当初は意図はしていませんでした。現在は社内スタッフの9割が女性です。



─女性への制度が充実していますが、その経緯をお聞かせください。

弊社のスタッフは20~30歳代が多いのですが、ある時幹部メンバー4人のスタッフの出産予定が重なったことがありました。おめでたい報告とは裏腹に、当時は急激な成長時期だったため主要ポストを担っていたその方たちは自ら申し出て仕事を続けようとしました。産休(産前産後休業)制度は利用してもらいましたが、勤務体系の再調整も必要になり、残りのスタッフ間で急なお休み(つわりなど)に伴う「穴埋め」業務の負担を共有しなければなりません。弊社はサービス業ですので運営はどうしても平日・祝日関係なく稼働です。私としては出産予定でも懸命に働く社員の姿を見て、なんとかより良い環境で働いてもらいたい、意欲ある社員を大事にしたいと思い、このタイミングで制度をつくりました。会社をより強固なものに変えないといけないことを痛感し、「時短のシフト勤務」だけでなく、「調整休暇」なども採用しました。この「調整休暇」はまる1日の有給休暇は遠慮されがちですので、休みを取りやすくするための制度です。産休後も働きやすい環境づくりを常に心掛けています。

─そして、女性への制度が整った?

現在完全に制度が固まっているわけではありません。というより制度に「終わりはない」ですね。
セルフィットで一緒にお客様を喜ばせたい!と本気に思ってくれているスタッフには、結婚、妊娠、出産、子どもの養育、保育園、学校入学といったライフサイクルに合わせ、常にいい環境で働いてもらいたい。そのためにはコミュニケーションをよくとり、そのことがスタッフの幸せになり、お客様も幸せに、更に会社も幸せになります。全方面に幸せが拡がります。
スタッフのライフサイクルが人それぞれに違うため、制度に「終わり」はないと思います。先を見据えた制度、体制づくりを図る努力は今後もずっと続いていきます。そうした運営からなのか、現在では寿退社は一人も無く、産休後の復帰率は100%になっています。

新規プロジェクトチーム始動!

 ─新規事業部が発足とのことですが?

企画・宣伝部門の新規事業部を立ち上げを予定しています。プロモーション企画立案、ホームページ、SNSを活用したWEB戦略構築などがミッションです。こういった業務はこれまで店舗運営スタッフが兼任していましたが、この度新規プロジェクトとして販促プロモーション分野で必要な施策を考え行動する専門の組織になります。お客様により効率的にご満足いただけるサービスを提供していくことが可能になります。

─このチームも女性が対象?

いいえ、男性も大歓迎です!(笑)




企業情報

株式会社セルフィット
大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第3ビル1F
TEL:06-6343-0770
http://www.studioselfit.com/






リーブ21/女性が活躍する職場は私たちにとって「普通のこと」。だから特別なことをしようという考え方にならない。


株式会社 毛髪クリニック リーブ21

株式会社 毛髪クリニックリーブ21は、正社員480名のうち女性社員が450名に上ります。
1976年の創業以来、育毛・発毛のパイオニア企業として成長を続け、業界をリードし続ける同社。
全国に約80ある店舗スタッフは全て女性で20代から50代後半まで幅広い年代が活躍しています。
顧客第一の精神でサービスを最前線で支える女性スタッフたちのことや、数々の賞や認定を受ける同社の働き方について、人事の藤原様、広報の西島様にお話を伺いました。

店舗スタッフは100%女性

当社の始まりは岡山の小さな店舗なんですが、求人募集をしたら是非採用したいと思う方が全て女性だったんです。
それが店舗スタッフが女性のみとなった原点だと聞いています。
毛髪という、お客様のデリケートな部分に触れるお仕事ですので、女性ならではの細やかさや気配りを大切にしたいということもありましたが、女性スタッフのコミュニケーションが素晴らしく良くとれていたこともありそんな環境の中、多店舗にも同様に女性ばかりになっているようですね。



モチベーションアップのために年2回MVPを表彰

店舗スタッフは実際に施術を行うオペレーターと、お客様のご要望をヒアリングするカウンセラーの2職種。
カウンセラーは各店舗に1~2名ですが、必ずオペレーターの研修も受けて実際にお客様に行う仕事や技術をしっかりと学びます。
店長から2~3店舗を取りまとめるブロックマネージャー、そしてエリアマネージャーへとキャリアアップを目指せます。
年間表彰と年に2回MVPを決定するなど、社員のモチベーションアップのために一人ひとりをしっかりと評価する仕組みを作っています。

「女性のために」という特別な制度や施策は特にありません

産休や育児休暇、時短勤務などの制度はありますが、特別なことではなく、あくまでも法律に遵守しているというだけです。
ただ、お母さんと赤ちゃんの健康を第一に考えて、体調が悪ければ産休を長期間取れるようにはしています。
出産は身体に大きな負担がかかることですし、特に店舗スタッフの仕事は顧客第一。
一人ひとりのお客様に全力で向き合うことを何よりも大切にしているので、そのためにもスタッフには万全の状態でいて欲しい。
そういった想いから、自然と今の環境が出来上がってきたのだと思います。

また、当社は2005年に厚生労働省の「快適職場推進計画認定事業場」の認定を、2017年には全国健康保険協会の大阪支部より「健康宣言の証」の認定をいただいています。
認定を受けるにあたり各機関への申請を行うのですが、当社は認定を受けるために何か新たな取り組みを始めるといったことはありません。
例えば、本社では定時の18時になったら片付けをしてオフィスの電気を消し、全員が帰宅します。
店舗スタッフも定時退社が基本ですし、週2日の休みはもちろん、春休み、夏休み、年末年始休暇以外にも最大10連休のリフレッシュ休暇等、お休みもきっちり取れます。
先程お話ししたように産休を長く取ることも可能です。こういったことは当社にとってごく当たり前のこと。
女性が働いていること、女性が活躍していることが普通のことなので、女性が多いからといって特別な何かをしようという考え方にはならないのだと思います。

社会貢献活動について

「CSOアワード2017」においてCSO賞を受賞しました。これは、当社が取り組んできた社会貢献活動を評価されてのことです。
当社の事業内容に大阪NPOセンター様が共感してくださいました。

当社では5歳から12歳までのお子さんに、1年間無償で施術を行う取り組みを11年前から行っています。
また、2014年からは、国際協力NGO団体「チャイルド・ファンド・ジャパン」を通じて貧困地域の子供たちを学校に通えるように支援する「スポンサーシップ・プログラム」にも参画しています。
今後は発毛、健康促進だけではなく、たくさんの共感や感動を生み出し続けます。



編集後記

編集部からの質問に「特別なことは何もしてないですよ」と繰り返すお二人。
お二人が「女性のために」という言葉にピンと来ないのは、「女性がイキイキと働いている」ことが、同社にとっては本当に当たり前のことだからこそなのだと実感しました。
「ダイバーシティ」という言葉が不要になったときこそ、私たちが理想とする社会が実現しているのだろうと思うことができる取材でした。

企業情報

株式会社 毛髪クリニックリーブ21
〒540-6122
大阪市中央区城見2-1-61
ツイン21MID タワー22F
https://www.reve21.co.jp