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株式会社ヘソプロダクション/強烈にビジョンを描き『なるへそ』を発信。 やりたい事を大阪から世界へ!“ヘソ集団”の仕事とは

株式会社ヘソプロダクション

2017年、ユーキャン新語・流行語大賞で大賞を受賞した『忖度(そんたく)』。その受賞者が今回取材させて頂いた株式会社ヘソプロダクションの代表取締役 稲本ミノル 様です。
他人の心情を推し量り、相手に配慮するというこの言葉を聞くと、当時のニュースとともに思い出すのが『忖度まんじゅう』。現在までの販売累計は10万箱の大ヒット商品。忖度まんじゅうを生み出し大ヒットさせたヘソプロダクションは、今もなおモノづくりを通して社会を沸かし続けています。
新しいアイディアを出し続けられる理由、朝礼や会議も撤廃した社員とのコミュニケーションのとり方、攻め続けられる会社の作り方をなど、これ迄の企業が運営してきた働き方と一線を画す経営思考、手法は新しい働き方改革といえます。
企業の“ヘソ ”である代表取締役 稲本ミノル 様にそのあたりをお聞きしました。

株式会社ヘソプロダクション/強烈にビジョンを描き『なるへそ』を発信。 やりたい事を大阪から世界へ!“ヘソ集団”の仕事とは


経営の神様、松下幸之助の創業の地として有名な野田阪神 大開。小さな飲食店が居並ぶその中に株式会社ヘソプロダクションは佇んでいます。感動的モノづくりを通じて、物心共により豊かな人間社会を実現するため、人々の幸福と社会の発展に貢献するために、面白いけどフッと温もりもある商品を生み続けています。
経営者になりたいわけではなかった、という稲本代表。
どのような経緯で、現在の働き方にたどり着いたのでしょうか。



夢がたくさんあるのって…恥ずかしいな、と。


稲本さん:
前職につくまでは、旅人の様にブラブラしていましたね。本を出版したり、バイトしたり…。たくさんの夢がありました。そしていつか自分は何かで成功するんじゃないか、誰かが引きあげてくれるんじゃないか、と思って色々やっていました。

でもあるきっかけがあって、これから自分はどう生きていこうかと真剣に考えたんです。僕は3人兄弟で、一番上の兄を亡くしているんです。その兄が亡くなった25歳を自分が超えた時、ふと、夢がいっぱいあることを恥ずかしく思ったんです。やりたいことが山ほどあることが、若い頃はかっこいいと思っていたのに、未だにこんなにあるということは、努力していないんじゃないかって。やれる可能性を残したまま努力をせず逃げて、40代50代になった時に『本当はこう思っていた』『こんなこともできたのにな』って語りたかっただけなんじゃないかって。
その時に、やりたいことをひとつずつ潰していこう、まずはチャレンジしようと決めたんです。そこから玩具問屋に就職し、10年間の経験を積みました。


自分が企画したものを作って売りたい!


稲本さん:
玩具問屋では自分が企画したものを売りたくて、毎日企画書を書いていましたね。与えられた仕事もこなす中で、自分らしく仕事をしたい、何かで自分を表現したい、という思いが強かったんです。そしてだんだんと自分で企画したものを自分で営業するようになり、持ち込んだ企画が採用されるようになり、仕事が増え会社が大きくなり…。この頃は自分の存在意義を見つけようと一生懸命でしたね。この過程の中で、メーカーの人やお客様との関係を築き、自分で企画してモノづくりのスキルを身につけていきました。

10年勤務して退職、その数ヶ月後にヘソプロダクションを設立しました。うまくいく、いかないは考えずにどんな会社にするか、どんなコンセプトでやっていくかを考えて、当時お世話になった方の言葉や空気に乗っかって決めたんです。


最初の商品は『パインアメ×バウムクーヘン』


稲本さん:
僕には大阪の企業を応援したい、新しい関西名物を世に発信したい、という気持ちがあります。そこから商品を考えています。
最初はパインアメを見ていて、このままバウムクーヘンにしたらおもろいなと思って。知り合いのツテを辿って、『パインバウム』という商品を作りました。

「パインアメ」:大阪天王寺にあるパイン株式会社が1951年(S.26年)に製造。大阪は元より全国で愛され続く飴。大阪の子供はこの飴で初めてパインの味を知ったと言っても過言ではない、国民的“アメちゃん”


面白いと思えるもの、これは発信したいと思えるものに対して、リスクを自分で取るのが経営スタイルです。リスクを持つからこそ本気になれるし、相手にも覚悟が伝わるんだと思うんです。『企画=魂』ですよ。企画を持って行く時は、断られて当たり前と思って行ってます。この企画絶対いける!なんて思っていません(笑)。企画に対する愛や情熱を、相手の企業にどう伝えるかです。年間1000件は企画を考えて、商品化は100件くらいですね。


流行語大賞を受賞したあの『忖度まんじゅう』


株式会社ヘソプロダクション/強烈にビジョンを描き『なるへそ』を発信。 やりたい事を大阪から世界へ!“ヘソ集団”の仕事とは年間流行語大賞を受賞した「忖度まんじゅう」

稲本さん:
忖度まんじゅうは、最初は売れなかったし受け入れられなかったし、ボロカスに言われてましたね(笑)。
『忖度』が流行語にノミネートされた時に、ユーキャンさんに連絡をもらったんです。忖度という当時ネガティブな言葉を、『関西人らしく面白く広げていった稲本さんに受賞してほしい』と言われて。自分もそのつもりで商品にしたので、賞を頂きました。その後しばらくは忖度社長!って言われて、まんじゅう屋の若社長だと思われてて…むっちゃ嫌でした(笑)。


忖度まんじゅうのような変化球の商品ばかりではなくて、当たり前に売れるものも大切にしています。面白い、面白くないは別にして売れるものをしっかり作って経営基盤を固めながら、遊び心の商品を作っています。


ヘソプロダクションは朝礼なし・会議なしといった、会社の中で当たり前に行われていることは一切していません。進捗状況の把握などはお互いが必要な時にその時間を設けて、コミュニケーションをとっています。

お互いが必要な時に必要なだけ話す


稲本さん:
朝礼や会議のような、自分にとっても社員にとっても、ストレスになりモチベーションが下がることはしないほうがいいと思っています。社員が納得出来る朝礼をやる自信はない(笑)。有意義だなと思わせる会議を、僕と社員どちらもできるとは思っていないんです。だったら普段の会話で補えますし、必要な時に必要なコミュニケーションを取るのがいちばんいい。朝礼や会議の時間より、お互いが必要とし合っている時の15分の方が、やるべきことを明確に伝えることができるので意義があると思うんです。
出社時間は、一応9時ですね。考える訓練をさせたいので、自分でスケジュールは組んでもらっています。

株式会社ヘソプロダクション/強烈にビジョンを描き『なるへそ』を発信。 やりたい事を大阪から世界へ!“ヘソ集団”の仕事とはいつも通りの遊びながら企画打合せ


モノづくりはワンマンでいい


稲本さん:
なんでもできるバランスの良い社員を育てるのもいいですけど、得手不得手に合わせた仕事をするのが組織の中でのポイントだと思います。企画を考えるのが得意なら、得意な人間がやればいい。得意なことを伸ばせばいいんです。
ヘソプロダクションでは、企画はすべて僕が考え進めています。企画はカリスマひとりがやったらいい。その方が企画の責任を取れます。この企画どう思う?って聞いても、10人中10人がいいと言う訳がない。自分で考えて企画として立ち上げてしまえば、売れなくても責任が取れます。経営はワンマンでは難しいですが、モノづくりはワンマンでいい。


2019年の企業コンセプトは『空気をつくる(Make the air)』


稲本さん:
中長期の計画を立てる時は、その時に自分が感じる肌感覚を大事にしています。2019年の企業コンセプトは、空気に乗っかったり流れに乗ったりするのではなく、自分たちで新しい時代の空気を作り出さなあかんのちゃうかなって思って。それで決めました。今年はこれで行くぞ!と。
コンセプトの決定には、大きなエネルギーを使います。毎年ビジョンを考えているのも、どんどん時代は変わるからです。今ってどんなことに会社は取り組んでいかないといけないのか?ということに合わせて、コンセプトも変えていかないといけないと思っています。言葉はみんなを引っ張ってくれるので。コンセプトに沿って仕事をしたら大きなズレは生じません。

株式会社ヘソプロダクション/強烈にビジョンを描き『なるへそ』を発信。 やりたい事を大阪から世界へ!“ヘソ集団”の仕事とは今秋発売予定の「なるへそ」のある文具コラボ商品

※へそ文の詳細はこちら
https://www.heso-pro.com/project/hesobun/


経営はアート。ビジョンを強烈に描くこと


稲本さん:
僕は、経営はアートだと思っています。ロジックが1割、9割がアート。経営を強烈に描いていたら、みんな仕事もしやすいと思うんです。今年はこんなアートを描きます、と言ってコンセプトを伝える感じです。
ビジョンを描くことは大事だと思うんですが、強烈にビジョンを描くことが大事だと思っています。強烈に描いていたら、その通りになります。

採用も感覚で決めます。この人と一緒に働きたいか働きたくないか。最終的に、その時の感覚は間違っていないことがほとんどですね。すごく能力の高い方でも、この会社とは合わなさそうだな、他の会社に行った方が幸せになれそうだな、とかの感覚を大切にしています。


大阪の空気を変える!


稲本さん:
最近、新しい目標ができて。野田阪神は松下幸之助の創業の地なんですけど、ここから若い人たちが世界を目指す場所、集まる場所にしたいんです。起業したい人たちが集まる場所にしたい。『大開』という街の名前もいいですしね。だから僕は成功しなきゃいけないし、この街を変えたろ!と思うんです。大阪っていいモノづくりをしているのに、意外と浸透していない。そこにスポットを当てていくことで、お互いが成長できてPRにもなると思うんです。

中小企業や銀行で、今は景気が悪い、なかなかうまくいかない、とかネガティブな経営者の声をよく聞きますが…。世の中の流れとか環境とかのせいにしている時点で、あかんと思うんです。そんなの関係なく、やる人はやる。やるから空気を変えていけるんです。人が集まらないなら、集まってくるような会社、企業にしたらいい。景気が悪いなら景気が良くなることをやればいい。シンプルですよ。僕がサラリーマンとして働くなら、そうやって攻めている会社で働きたいですね。

東京は『東京バナナ』とかあるのに、大阪は大都市なのにこれ!というお土産がないんです。これってチャンスだなと。大阪のお土産に求められる笑いを入れながら、モノづくりをして大阪を盛り上げたいですね。


穏やかな口調からでもじわじわと伝わってくる、モノづくりに対する稲本さんの熱い想い。今後、大開の街から大阪、世界へと、どんなモノを介してその想いを伝えていくのかがとても楽しみです。

株式会社ヘソプロダクション/強烈にビジョンを描き『なるへそ』を発信。 やりたい事を大阪から世界へ!“ヘソ集団”の仕事とは大きな話題になった「平成の空気缶」の採取前にハイチーズ!



企業情報

株式会社ヘソプロダクション
本社 大阪市福島区大開1-15-26
TEL:06-6464-5566
FAX:06-6464-5556
https://www.heso-pro.com/


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