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一般社団法人 oioi/「手は口ほどにモノを言う」バリバラにも出演するエンターテイメント集団が体現し続けたいこと

一般社団法人 手話エンターテイメント発信団oioi(オイオイ)

目が見えない人、足が速い人、手が不自由な人、よく喋る人…。様々な人間がいて、その人間が関係を構築して得手不得手を補い合うことで、社会は成り立っています。

きこえない人がコミュニケーション手段として使う手話、その手話に、コントや歌など様々なエンターテイメントをかけ合わせたものを『手話エンターテイメント』として発信し続けているのが、一般社団法人手話エンターテイメント発信団oioiです。

団体創設から14年。舞台に立ち、講演やワークショップだけに留まらず、NHK Eテレの障がい者情報バラエティー『バリバラ』にも何度も出演、企業としても数多くの賞を受賞(2017年大阪府障がい者雇用貢献企業顕彰「ハートフル企業チャレンジ応援賞」、2017年大阪府障がい者サポートカンパニー優良企業)している実力派集団。
そんなoioiの、活動の根底に根付く理念やこの道に進んだ理由、きこえない人と一緒に働く上で知っておきたいスキルなどを、代表理事の岡﨑伸彦さんと、理事の石田竜士さんにお聞きしました。

一般社団法人 oioi/「手は口ほどにモノを言う」バリバラにも出演するエンターテイメント集団が体現し続けたいこと


『きこえる人』と『きこえない人』が一緒に活動。そんなoioiだからこそ伝えられること

oioiの活動の幅は多岐にわたります。手話コントや手話歌によるパフォーマンス、初心者に向けてのワークショップ、講演、ビジネスマン対象の手話講座。より多くの人に手話によるパフォーマンスを楽しんでもらうために、手話や聴覚障がい者と普段関わりがない人にも、手話に接する場を提供しています。
また、FacebookやTwitterなどのSNSを通した情報発信も行い、手話や聴覚障がい者への関心を高める取り組みも行なっています。
現在、団体メンバーは33名。うち10数名がきこえない人で、今回お話を伺った岡﨑さんも聴覚障がい者で『きこえない』方でした。


岡﨑さん:
最初の頃は、ストリートライブで手話を使った歌のパフォーマンスばっかりやっていました。きこえる人からは好評だったんですが、きこえない人の中には、手話歌を楽しめないという人もいて、微妙なところもありました。あと、手話は日本語に比べて、圧倒的に単語が少ないので、手話で表すのが難しい部分は、文章の意味を考えた上で、別の手話を当てはめることが多いんですね。そうすると、その言葉と手話が一致していないにも関わらず、手話を知らない人が初めてそれを見た時に、『へぇー。この言葉はこうやって表すんだ』と誤解してしまうこともあるんです。抽象的な歌詞が多い歌だと特に手話の置き換えが多くなりがちで、その分、観ている人たちに手話を誤解させてしまうという恐れもありました。

さらに、手話パフォーマンスの創造体験ができる合宿を開催した時の話ですが、きこえる人はみんな手話歌がやりたい!きこえない人はみんな手話コントをやりたい!って見事に意見が真っ二つに分かれてしまったことがあるんです。このまま手話歌ばかりやっていると、きこえる人ときこえない人の間にあるバリアをぶっ壊すどころか、バリアを分厚くしてしまうのではないか、と思い、そこからはパフォーマンスの中にお笑い(コント)を積極的に取り入れていくようになりました。

パフォーマンスにコントを取り入れるようにしたことで、手話歌をやる前にその歌のストーリーを面白く伝えられるようになり、きこえない方からも歌の世界観が伝わってくると好評をいただけるようになりました。また、きこえないことをネタにしたブラックユーモアは、きこえるお客様からもきこえないお客様からも好評ですね(笑)

一般社団法人 oioi/「手は口ほどにモノを言う」バリバラにも出演するエンターテイメント集団が体現し続けたいこと

本当にきこえていないの?と突っ込みたくなるくらいよくしゃべる岡﨑さん。ネタの中にはブラックユーモアが多いのですが、抵抗はなかったのでしょうか。


岡﨑さん:
ブラックユーモアを取り入れることに抵抗はまったくありませんでした。むしろ、それで笑ってもらえる方が、壁がなくなります。そういうことを言っちゃいけない、というよりも、そういうことを言ってもええねんで、と。


石田さん:
僕の方がブラックユーモアには抵抗がありましたね。初めてoioiの練習に参加した時に、きこえない人に対して『おいきけよ!』『いやきこえへんねん!(笑)』って笑いあう様子を見て。これすごいなと思った反面、自分にできるかなって。やりたい気持ちとやってええんかなっていう気持ちがありましたね。


きこえる人ときこえない人が一緒に活動しているからこそできる、ブラックユーモア。そんなネタを織り交ぜたネタで、手話パフォーマンスをしています。


心のバリアを壊す「バリアクラッシュ」が活動理念

バリアクラッシュとは、きこえる人、きこえない人の間にある心のバリアを壊すこと。そんな理念を掲げて行う活動は、実は見ている人だけでなく、活動をしている人の壁もクラッシュしているようです。

岡﨑さん:
活動を通して、障がいを持つ人のイメージを変えたいんです。例えば、障がい者は「暗い」とか「おとなしい」とかそんなイメージありますよね?そういうのを変えたいんです。

石田さん:
oioiには暗いきこえない人いないですよ、ほんまに。めっちゃ明るいですね。というよりも、明るくなりました。最初、めっちゃ暗いメンバーがいたんですけど…。

岡﨑さん:
めっちゃやばいヤツ(笑)。友だちいないんじゃないかっていうくらい(笑)。僕らがパフォーマンスの練習をしてても、興味ない様子でお菓子食べてて。
そんな彼がパフォーマンスするようになって、お客様に褒められるようになって。1年後には『舞台のセンターやりたい』って言い出すようになりました(笑)。
パフォーマンスにもこだわりを持ち、自分で工夫して練習するようになって、お客様に褒められ、もっと褒められたくてまた頑張って…という良い循環に入って、変わりましたね。

一般社団法人 oioi/「手は口ほどにモノを言う」バリバラにも出演するエンターテイメント集団が体現し続けたいこと

自分が認められる場所、居場所が見つかったことでメンバーの心境にも変化があるようです。
活動のツールである手話を学ぶ場はあるのでしょうか。


岡﨑さん:
手話言語条例の制定が各地で進んでいるとはいえ、手話を学ぶ場はまだ少ないと思いますね。大学の手話サークル以外に若い人が手話を学びたい!と思って気軽に学びに行けるような場所があまりないような気がします。
また、サークルによっては手話通訳士になることを目指している所もあり、最初からハードルが高く感じられる場所もあるようです。もっと気軽に手話を勉強できる場所が増えたらいいんですけどね。

相手の口を見て、顔を見て。円滑なコミュニケーションが日常的に

働いていく中で、『きこえる人同士』でも時にすれ違いうまくいかず、大変だ…と感じることも多いコミュニケーション。きこえない人と一緒に一緒に仕事を進めていくのはもっと大変なのでは、とも思ってしまいます。きこえない人の目線に立った一緒に働く上での工夫は、対個人だけでなく組織全体にいい影響を与えるそうです。

岡﨑さん:
きこえない人は、基本的に相手の口を見ます。口の形から言葉を読み取っているんです。なので、必然的に顔も見ます。そうすると、相手も自分の顔を見てくれるようになる。また、きこえない人がその場にいるということで、みんながゆっくり喋ってくれるようになる。そうすると、その場にいる人みんなが分かりやすくなる。きこえない人のためにやっていることが、結果としてみんなのためになっているんです。

また、喋るときにジェスチャーを交えてくださる方もいるのですが、そういう方はプレゼン力が自然と磨かれていくと思います(笑)

こういったことから、きこえない人に分かりやすく話すことはきこえる人にとってもメリットがあることだと思います。
みんなに伝わる話し方を意識できるようになると、きこえる・きこえないに関わらず誰もが働きやすい職場になると思います。

石田さん:
バリアフリーという言葉って結構世の中に浸透してますよね。しかし、バリアフリーは障壁のない“状態”を指す言葉なので、それを言っているだけでは今あるバリアはなくなりません。
『バリアがない社会になったらいいなー』ではなくて、バリアがない社会を自分たちで創っていく、行動する。そういう思いがバリアクラッシュという活動理念に込められています。


これからもその場で"繋がり"を感じられるような時間の創出をし続けるoioi

岡﨑さん:
今後はバリアクラッシュ実現のためにも、手話パフォーマンスを今以上に盛り上げていきたいですね。そのためのパフォーマンス活動はもちろん、SNSを駆使した情報発信にも力を入れていきたいですね。とにかく手話パフォーマンスが文化となるように世の中に広めていきたいです!!

明石家さんまさんを崇拝している岡﨑さんと、ええ声で岡﨑さんのちょっとしたフォローをさりげなくする石田さん。そんな2人が率いるoioiのこれからの活動が、ますます楽しみですね。


現在、『聞こえない人、オモロいやんけ!』と思わず言っちゃう本を創りたい!のクラウドファンディングに挑戦中!
さらに7/13(土)には自主公演『HANDER WORLD Ⅱ』も控えております。

◆クラウドファンディング
https://camp-fire.jp/projects/view/152739

◆HANDER WORLD Ⅱ
https://m.facebook.com/events/2164665380255083/?ti=cl


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企業情報

一般社団法人 手話エンターテイメント発信団oioi
TEL:090-2118-9201
E-mail: oioi@oioi-sign.com
http://www.oioi-sign.com/






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