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株式会社 中央電機計器製作所/僕が日本のお父さん ~外国人社員をわが子のように接する計測器メーカー~

株式会社 中央電機計器製作所

ダイバーシティという言葉は、今や広く普及し多くの企業で重視されるようになりました。この言葉が一般的に使われるよりももっと前から、外国人留学生を積極的に採用、定着させ、自立した働き方を促してきたのが 株式会社 中央電機計器製作所です。

海外展開を加速するために、アメリカ、スイス、ベトナム、タイ、中国…と多くの国の人々を育成してきた中で得た、多様な人材活用のポイントや会社を大きく育て上げることができたコツを 会長 畑野吉雄 さんに伺いました。(会長は2017年秋の叙勲受章)

株式会社 中央電機計器製作所は創業以来80年以上にわたり、確かな技術力と製品力をもとに数多くの高品質なテスト・計測・制御システムを提供されています。ハード、ソフトの設計・開発・製作からアフターフォロー、メンテナンスに至るまで、トータルコーディネートというのが主な仕事内容です。
2017年 「地域未来牽引企業」受賞
2017年 「はばたく中小企業・小規模事業者300社」受賞


株式会社 中央電機計器製作所/僕が日本のお父さん ~外国人社員をわが子のように接する計測器メーカー~


畑野さん:
「開発したものは、すぐに真似されてしまうのであえて特許は取っていません。我々と同じ値段、性能が出せるのであればどうぞやってみてください、という姿勢ですよ。
外国人を採用して一緒に働いていく上では、こちらが日本語で説明して、相手が完全に理解して…というのはなかなか難しいこともあります。ただ、海外を一緒に回っていく中で、代わりに日常会話をしてもらったり、出身国の会社を訪れた際に信頼を得やすかったり…距離がいっぺんに近くなるというのはありがたいですね。
外国人をまだ採用していなかった頃は、別会社の外国人社員とともに、海外を一緒に回ってもらっていました。その後、自分の会社でも雇おう、となったんです。
最初に外国人を採用したのは、約17年程前ですね。その後、いろんな国の方を採用しています。かつて採用した中には、K-1選手で得意技が回し蹴りという女性もいましたね(笑)」

人間力が大切や


畑野さん:
「採用は外国人向けの就職説明会にブースを出します。中小企業はウチだけで、あとは大企業ばかりでね。最初はウチのブースは誰もいないんです。でも、2時間ほどするとウチが一番盛況になって、椅子が足りなくなるほどですよ。
何を話すかというと、企業の話ではなく『人間力が大事やで、仕事の中身も大事だけど、僕に惚れて入社して欲しい!』という話をするんです。

畑野会長ヒストリー ①
『あなた美人だけど、美人だから常にモテると思ったらあかんで!ニコニコ笑ったらいっぱいボーイフレンドできるけど、すましてたらできへんで!』
と、就職説明会の会場なのに、ブースにいた美しい女性にはこんな話をしていたそう…。



こんな話ばっかりするから、他のブースからも興味を持った人が来るでしょ。説明会終了後は、開催者に一番多くの人が訪れていた、って褒められましたよ。」

中央電機計器製作所へのかつての就職倍率は30倍、外国人人材も豊富だったそうです。日本で努めたい留学生は多いものの、留学生を受け入れる日本企業はまだ少ない中で、多くの人材が働くきっかけとなりました。インターンシップは、20年ほど前から受け入れていたそうです。


畑野さん:
「いろんな国へ仕事でいく中で、外国語が話せる社員がいてくれたら、ウチの会社の世界が変わるなという思いがあって。結果、既存の日本人社員にもいい影響がありました。
今の所、N1*は採用条件にしています。持っていなくても日本語が喋ることができたら採用はしていますが、我々の会社は受注生産品が圧倒的なウェイトを占めていて、ルーティーンではなく単発の仕事が多いんです。なので、日本語の理解がしっかりとできないと、我々だけでなく本人もしんどくなるので…N1は条件にしています。

* N1とは…
現実の生活の中で、幅広い場面で使われる日本語を理解することができる日本語能力試験レベルのこと


株式会社 中央電機計器製作所/僕が日本のお父さん ~外国人社員をわが子のように接する計測器メーカー~

製造、設計、営業など幅広いポジションを担当してもらいますよ。自分の能力はどこにあるかはわからない中で仕事をし、いろいろやってみる中でその方に合った仕事をしてもらいます。

海外の展示会には、新人さんを連れて行きます。ベテランは頭固くて、凝り固まった尺度しかないので、ユニークのものがあっても気ぃつけへん。新鮮な目が必要な海外の展示会には、若い子の方が、感性が高いんですよ。

日本の父として社員に接する


畑野さん:
「最初は、日本の文化を理解してもらうことに苦労はしましたね。挨拶の仕方、ビジネスマナー…。会社に入ったことで意識を変えてもらうのは、なかなか難しかったですね。
外国人社員に対しては、『僕が日本のお父さんになるから。』といって、私生活の話を聞いたりしていましたね、恋愛の相談ですとか。外国人社員の親御さんが日本に来た時は、会社まで来てもらって、経営ポリシーをお話したり職場環境を見てもらったりします。
親御さんは、安心されて自国に帰って行かれますよ。

外国人社員だけでなく、日本人でも親元を離れて生活しているのであれば、相談に乗りますよ。防犯金具をプレゼントしたりね。心配ですから。

畑野会長ヒストリー ②
『結婚する女性社員の彼氏とは、ここの会社で面談します。で、いろいろ聞いて…彼はやめたほうがええんちゃう?とはっきり言います。女性にとってはそんな簡単なものじゃないですけどね(笑)』


株式会社 中央電機計器製作所/僕が日本のお父さん ~外国人社員をわが子のように接する計測器メーカー~

お肌がツルツルの御年72歳の畑野さん。その魅力とパワーの源は経営者としての行動力でした。

畑野さん:
「ラスベガスの世界最大のエレクトロニクスショーに出展した時は、ホテル代やブース代、機器の搬入搬出、航空費…申請も準備も、結構大変でした。こういった中小企業にとってのチャレンジを超えていくことで、次のステージが見えてくるんです。
チャンスがあっても、行動力がなければ意味がない。国から数多くの賞を頂きましたが、行動しないともらえません。
若い時は仕事に一途で、海外でも朝ホテルを出るのが朝7時台、帰ってくるのが夜23時頃で、休みの日も飛び込み営業をしていました。チャンスというのは、こちらから行かないと待っていたのではやってこないですから。アポの時間までに1時間あったら、その時間を使って別の会社に飛び込みます(笑)勇気もいるけど、時間は活用しないと。
今後の人材登用のビジョンとしては、年齢とか国籍、性別は関係なく、もっともっと多方面からの人材が来てくれる企業になってほしいなと思います。半分以上が外国人でもかまへんな、と。」


犬も歩けば棒に当たる、社長も歩けば仕事に当たる


畑野さん:
「笑う門には福来たる。いろんな人にニコニコしておくこと。人が集まる場所では、必ず一番賑やかなグループに入っていくことが大切です、知らない人の集まりでもね。アホな話が多い(笑)けど、元気な人がいると、いろんなヒントがポロポロこぼれていて、そのヒントを拾うだけでその場に行った意味が見出せる。

念ずれば夢叶う。念じ続ける。念じていたことは、みんな達成しています。」


畑野会長ヒストリー ③
かつては『年間100冊読む』と決めて、本を読み続けた時期があったそうです。食事中も読み続け、奥様に叱られていたとか(笑)。今はピアノに熱中していらっしゃいます。



畑野さん:
「ダイバーシティ経営、とよく言われますが、基本は人間対人間の感性だと思うんです。人間として、肌の色や性差別関係なくお付き合いできるか、モノの見方ができるか、が根底でそれができている人が、何の違和感もなく実践ができているのがダイバーシティ経営だと思います。

一期一会を大事にしたい、と海外の人に言うと、みんな自分も同じだ、と言います。だから、距離がいっぺんに縮まるんですよ。」

株式会社 中央電機計器製作所/僕が日本のお父さん ~外国人社員をわが子のように接する計測器メーカー~


ニコニコと話す畑野さんの人柄に、ついつい引き込まれてしまい…、会社のことではなく畑野さんご自身のお話をたくさん聞くことになった今回の取材。
「僕に惚れて入社して欲しい!」とおっしゃっていた理由が、よくわかりました。
現在は会長職に退かれている畑野さんですが、中央電機計器製作所が今後どう変化していくのか、とても楽しみです。




企業情報

株式会社 中央電機計器製作所
〒534-0013 大阪市都島区内代町2-7-12
TEL 06-6953-2366
http://www.e-cew.co.jp/index.html/




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