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アイトス株式会社/『ありがとうカード』と進化する女性プロジェクトチーム

アイトス株式会社

アイトス株式会社は2017年に創業100周年を迎えた作業服のアパレルメーカーです。
働く人が着る服はすべて「仕事服」。その全てを網羅して提供する企業を目指したいという理念から、ワーキングウェアや事務服、スーツなど何十万点ものアイテムを販売しています。

アイトスには、部署を横断した女性社員が集まる『AITOZ WOMEN’S PROJECT』(アイトス・ウーマンプロジェクト 以下AWP)というプロジェクトチームがあります。
今回はこの活動について、初代リーダーの総務人事部部長 藤井美穂様と現在リーダーを務める情報システム室 吉川裕美子様に話を伺いました。

アイトス株式会社/『ありがとうカード』と進化する女性プロジェクトチーム

プロジェクトの始まり

AWPは全社での企業改革を進める『アイトスプロジェクト10』の内のひとつ、『女性登用プロジェクト』として始まりました。

「『藤井さん、なんかやってよ。メンバーは誰を選んでもいいから』と言われて、チームを作るところからのスタートでした。システム、営業、営業アシスタント、生産、総務の各部署の7人から始めて、現在はメンバーを追加して9人で活動しています。

もともとアイトスの社内はざっくばらんな雰囲気で、いろんな意見を出し合える会社ではありましたが、男女間で格差があったのも事実です。
とはいえ、いきなり女性登用プロジェクトと言われても何をすればいいのか。最初の頃は『それでは女性の給料を上げてください』と話したら、『そういうことではないんだよ』と言われてしまうこともありました。」

役員やメンバーの間で、プロジェクトの目的や方向性を定める話し合いを繰り返しました。会社から望まれていたことは、会社を改革するために女性目線で意見を出すこと。もしくは女性ならではの考えをモノづくりに活かせるようにしていくこと。

「じゃあ私たちも要求するばかりでなく、実績を作ってこうしてくださいと言えるように頑張ろうということになりました。プロジェクトの名前も、『女性登用プロジェクト』では言いにくいので、皆で相談して現在の名前に変えることにしたんです。」

“ありがとう”の気持ちを伝えることで変わる意識

最初に始めた取り組みは『ありがとうカード』。2枚複写の紙に、日頃言葉では言いにくい感謝の気持ちを書いて社内の専用ポストに入れる仕組みです。それをAWPで集計して1枚は本人に届けているそうです。

「ピンクのカードで始めたので、桜をイメージしたんです。そこから、じゃあ花を咲かせてみようと『花咲きプロジェクト』という名前に変えました。
しばらく続けているとカードの数が減ってきましたので、新鮮な気持ちで書けるように、緑、黄色とカードの色を変えて、現在も続けています。
このカードは2017年度から考課ポイントに含むことになったので、これからまた書いてくれる人が増えるのではないかなと期待しています。」

アイトス株式会社/『ありがとうカード』と進化する女性プロジェクトチーム

『ありがとうカード』には、「片づけを手伝ってくれてありがとう」「急ぎの納期に間に合わせてくれてありがとう」といった普段の仕事を通して抱いた感謝の気持ちが書かれています。
この活動によって、社内にはどのような変化があったのでしょうか。

「社内のコミュニケーションはよくなりましたね。直接の会話の中で感謝を伝えてくれていたとしても、改めて文字で伝えられるとまた違ってきます。
役員や社長からもらうこともあったり、自分では思ってもいなかった方から届いたりしています。誰かに感謝してもらえていることがわかってうれしいのです。たまに、こちらが『ありがとうカード』を送った人から、カードを送ったことに対しての『ありがとうカード』が戻ってくることもあるんですよ(笑)。

以前カードの数が減ってきたので、もうやめようかという話もありました。
でも、カードがあると思うだけで普段の意識が違うという意見もありました。あ!『ありがとうカード』を書かないと!と一瞬思う、それだけでも意識改革は出来ているのではないかって。
それに、カードは書けなかったけど「ありがとう!」と言う人も増えてきており、社内の風通しはどんどん良くなり、継続している意味があると思っています。」


女性だから気付けることを自社商品に活かす

アイトスのワーキングウェアのラインナップには、男性用だけではなく女性用の商品が豊富に並んでいます。この女性向けのウェアの製品化には、AWPの意見が活かされています。

「実は、最初の頃に自分たちで女性向けのウェアを1から作ろうとして失敗したんです。社内に製品サンプルはいくらでもあるので、それらを積み上げて、どう進めていこうかと話し合いました。ただ私たちは作ることに関しては素人で、何もないところから物を作ろうとしてもどうしてよいかわからない。
その上メンバーは本来の業務がありながらプロジェクトに関わっているので、やろうとしてから出来上がるまでに時間もかかり、季節が変わってしまうんです。
このことで、やはり『餅は餅屋』だとわかりました。だから私たちは意見を出す形で協力して、作ることはプロである生産部門にお任せしようということになったんです。」

自分たちにできる形でのモノづくりへの関わり方を探りだしたことから、AWPの意見と社内の製作工程が結びつき、女性向けウェアの商品化が進むことになりました。

「今の時代どの業種にも女性が進出してはいますが、当時は女性用がなくて男性のユニフォームを着て働く人が多かったんです。でも女性が男性用を着るとウエストはぶかぶか、お尻はきつい。体形が違いますからね。
一方で仕事現場のユニフォームとして考えたとき、男性も女性も同じ場で同じように働いているのだから、見た目は同じものを着たいという気持ちもあります。だから、色や形などの見た目は男女とも同じにして、女性が着やすくなるように考えました。」

現在も製品について意見を出す取り組みは続いています。近頃は製作している人の方から進んでAWPの意見を聞きたい、と言われることもあるのだそうです。

プロジェクトを次の段階に進めたい

AWPでは自社製品製作への参加や『ありがとうカード』以外にも、たくさんの取り組みを行ってきました。東日本大震災後の塩害の影響で稲作ができなくなった土地に塩を吸収する綿を植えた『東北コットン』や、社員の家族を職場に招いて見学してもらう会なども企画・実行しています。

最後に、AWPではこれからどのようなことをやっていきたいか、お尋ねしました。

「更にステップアップできること検討中です。何か目標があった方がやりがいもありますから。女性用ウェアが完成した時のような達成感を、またメンバーにも味わってもらいたいです。

それと実は、これからあまり女性というのを前に出したくないとも思っています。男性だから女性だからということに関係なく、それなりにできる人は仕事を創造していけますからね。
今、何をもってゴールとするかはわかりません。ただ、AWPを現在の段階よりもう一歩進んだ組織に広げていけたらと考えています。」

企業情報

アイトス株式会社
【大阪本社】
〒541-0057 大阪府大阪市中央区北久宝寺町2-4-8
TEL 06-6262-8500
【東京本社】
〒111-0053 東京都台東区浅草橋4-19-7
TEL 03-5835-2100
http://www.aitoz.co.jp/







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